【実例】海外アダルト動画サイトの流出動画を削除した事例
自分が映った動画が海外の成人向け動画投稿サイトに上げられていると知った女性が、サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)に相談した。拡散範囲の確認、記録、窓口ごとの削除要請、削除の確認、再アップロード対策までの順序を残す。依頼人を特定できる情報はすべて除いた。
ABSTRACT
海外のサイトに上がった動画は、元の投稿、ミラーサイトへの転載、検索結果のプレビューの三つの経路で広がる。この事例では経路ごとに要請先と根拠を分け、サイト運営者、ホスティング事業者、CDN、検索エンジンへ順に要請し、各URLを開き直して消えたことを確かめてから、ハッシュ値による監視に移った。
事例の事実はサラジムカンパニーの記録に基づき、記録にない件数・期間・日付は加えていない。手続の記載は、e-Gov 法令検索、総務省、情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会、Cloudflare、ICANN、Google 検索ヘルプ、StopNCII.org の記載を2026年11月4日時点で確認したものである。
目次
01事例の概要
依頼人は、自分が映った動画が海外拠点の成人向け動画サイトに投稿されていると知った女性である。誰が見たのか、どこまで広がったのかが分からず、日常生活を続けることが難しい状態で相談に来た。
サラジムカンパニーはこのサイト上の投稿の削除を進め、依頼を受けた投稿は削除された。依頼人はそこで止めず、同じ動画が再び上がらないよう再アップロード対策まで続けて依頼した。
この記録は、同じ状況に置かれた人が「何が起きて、何をすればよいのか」を具体的に知るために残している。手順の多くは本人がしなくてよいものであり、本人がすべきことは限られている。
残したのは作業の流れだけである。動画の内容、依頼人の年齢・職業・地域、投稿した人物に関する情報は書いていない。記録にない件数や期間を加えてもいない。
02海外の動画サイトが厄介な理由
この種のサイトは運営者もサーバーも国外にあり、国内のサイトのように運営者へ直接連絡したり、国内の手続だけで片付けたりすることが難しい。
難しさは三つある。運営者の連絡先が出ていないか、通報窓口が機能していない。同じ動画がミラーサイトへそのまま転載され、リンクやキャプチャがメッセンジャーや掲示板で別に回る。画像検索や動画検索にプレビューが出れば、サイトを知らない人の目にも入る。投稿を一つ消せば終わる話ではない。
そのため、この事例で最初に立てた問いは「運営者にどう連絡するか」ではなく、誰がファイルを握っているかだった。サーバーを貸しているホスティング事業者、サイトの前段にあるCDN、ドメインの登録事業者、そしてプレビューを表示している検索エンジンである。運営者が黙っていても、Cloudflare や登録事業者のように通報窓口を公開している相手がいる。
03一人で対処すると止まるところ
まず、動画を見直す負担がある。要請にはどのURLに何があるかを一件ずつ示す必要があり、本人がそれを繰り返すのは大きな苦痛になる。次に、どこへ出せばよいかが分からない。運営者が応じなければホスティング事業者やCDNへ回すことになるが、それぞれが求める根拠と形式は違う。最後に、消えたと思った動画が別のURLで戻ってくる。
一件ずつ進めることの損失もある。一人で対処する人の多くは、見つけた投稿を一つ通報し、待ち、何も起きないのを見てから次の経路を探し始める。その間に、まだ見つけていない転載はそのまま残る。三つの経路を同時に進めることが、一覧が減るより先に増えていく状態を止める。
投稿者やサイト側に金銭を送ったり、直接交渉したりしない。動画をダウンロードして知人に見せたり、確認のために別の場所へ上げたりもしない。URLと確認した日時を控えておけば足りる。
04匿名で始める相談
相談は匿名で始められる。最初から氏名や連絡先を明かす必要はなく、相談内容は担当者以外に共有しない。最初に確かめるのは三点で、既に分かっているURLがあるか、本人と分かる顔が映っているか、これまで自分で通報や依頼をした先があるかである。
URLを一つも知らなくても始められる。サラジムカンパニーは本人の写真2〜3枚から流出先を探す顔認識による探索を使っており、依頼人がサイトを探し回って動画を見直す必要はない。範囲と費用は、拡散範囲を確認してから示した。
この段階で依頼人に渡したのは約束ではなく計画である。どの分類のURLがあり、それぞれをどこへ出し、作業の途中で何を記録し何を削除するか。代表はセキュリティの実務出身で、Palo Alto Networks に在籍した経歴があり、CISSP・CISM・CEH・OSCP・GIAC GASAE を持つ。作業は情報セキュリティの事故対応と同じく、範囲の確定、封じ込め、確認の順で進めた。
05元動画・転載・検索結果を分ける
要請を出す前に、どこまで広がったかを確かめる。元の投稿だけ見つけて終えると、転載と検索結果が残る。見つけたURLは三つに分けて一覧にした。分類ごとに要請先と根拠が違うからである。
| 分類 | 要請先 | 根拠 |
|---|---|---|
| 元の投稿 | サイト運営者、次にホスティング事業者 | 同意のない性的な動画であること、サイトの規約違反 |
| ミラーサイトの転載 | 各サイトとその事業者・CDN | 同じ根拠をサイトごとに出し直す |
| SNS・掲示板のリンク | 各サービスの通報窓口 | そのサービスの性的画像に関する規約 |
| 検索結果のプレビュー | Google などの検索エンジン | 意に反して公開された性的画像の削除申請 |
分類しておくと、どこが残っているかも一目で分かる。元の投稿だけ消すと転載と検索結果が残り、転載だけ消すと元の投稿からまた広がる。三つを同時に片付けて初めて、拡散の元が断たれる。
顔認識の結果はそのまま使わず、担当者が一件ずつ確認した。別人が混じると関係のない投稿に要請を出すことになり、肝心のURLへの対応が遅れる。
06削除の前に残す記録
記録は要請と同時に、場合によってはその前に取る。投稿が消えれば、そこに何があったかを示す手段がなくなる。URLごとにURL・確認日時・投稿が見える画面を残した。記録は、依頼人が警察に相談したり法的手段を取ったりするときの資料になり、後の監視で新しい投稿が同じ動画かを照合する基準にもなる。事件以外の目的には使わない。
自分で記録を取る場合は、量より正確さが大事になる。動画を保存しておけば証拠になると考えがちだが、手元のファイルは流出の経路を一つ増やすだけで、要請にも使わない。必要なのは、どのURLにいつ何が出ていたかが後から分かることである。
自分で残すなら最小限で足りる
- 投稿のURLをアドレスバーからそのまま控える
- 最初に見つけた日付と時刻を書き留める
- 画面を残すなら、再生中の場面ではなくタイトルとURLが見える画面だけにする
- 動画を保存したり、確認のため他人に送ったりしない
07運営者・ホスティング・CDNの順
海外サイトへの要請は一か所では終わらない。運営者が応じなければ、サイトを支えている事業者へ広げる。多くのサイトは Cloudflare を通している。Cloudflare は、自社がホストしていないコンテンツは削除できないとしたうえで、通報を運営者とホスティング事業者へ転送し、ホスティング事業者にはオリジンIPアドレスを伝えると説明している。
Cloudflare の通報フォームには同意のない性的画像の区分があり、メールでの通報は原則として処理できないとしている。ドメインの登録事業者も要請先になる。ICANN は登録事業者に対し、不正利用の窓口を公開し、通報を速やかに調査して対応することを求めている。
- 運営者:サイトの連絡先や通報フォーム。機能していれば最も早いため最初に試す。
- ホスティング事業者:ファイルが実際に置かれているサーバーの事業者。Cloudflare からオリジンIPアドレスを受け取り、自社の設備上でファイルを特定できる。
- CDN:自らはホストしていないため削除はしないが、通報を転送し、ファイルの置き場所をホスティング事業者に伝える。
- 登録事業者:ドメインの登録を扱う事業者。公開されている不正利用の窓口へ出す。登録事業者は ICANN Lookup などで調べられる。
要請書には、URLの全件一覧、映っているのが申出人本人であること、撮影または公開に同意していないこと、違反する規約、連絡先と委任の事実を必ず入れた。動画やキャプチャは添付しない。正確なURLがあれば相手は投稿を特定でき、添付は複製を増やすだけである。
一度で通らない要請もある。その場合は相手の回答に合わせて根拠を補い、出し直す。運営者が最後まで応じなければ、ホスティング事業者とCDNへ要請先を広げる。海外の事業者の多くは英語の要請を受け付け、形式が整っていない要請は検討されないまま閉じられることが多いため、要請書は相手ごとに書き分けた。
08日本で使える経路
国内のサービスに転載された場合は日本の法律が使える。リベンジポルノ防止法は、撮影対象者を特定できる形で私事性的画像記録を不特定多数に提供する行為を処罰し、法定刑は三年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金で、告訴がなければ起訴されない。
同法には削除の特例もある。撮影対象者本人(死亡している場合は配偶者・直系の親族・兄弟姉妹)が申し出ると、プロバイダが投稿者に照会し、二日たっても不同意の申出がなければ削除しても賠償責任を負わない。通常の名誉毀損・プライバシーの照会期間が七日であるのに比べて短い。書式は協議会の「私事性的画像侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」で、撮影対象者であることを確認できる文書を添える。
| 相手 | 経路 | 期限・効果 |
|---|---|---|
| 指定を受けた大規模事業者 | 情報流通プラットフォーム対処法の削除申出 | 判断結果の通知は申出から7日 |
| 国内のサイト・掲示板 | 送信防止措置依頼書(私事性的画像用) | 発信者への照会から2日 |
| Google 検索 | 個人的な性的コンテンツの削除申請 | 検索結果からの削除のみ |
| StopNCII.org 参加企業 | 端末上で作るハッシュの登録 | 参加企業の範囲で一致を検出 |
情報流通プラットフォーム対処法で期限が課されるのは総務省が指定した事業者に限られ、指定先は YouTube の Google LLC、LINEヤフー、Meta、TikTok、X Corp. などである。海外の成人向け動画サイトは含まれない。サラジムカンパニーは法律事務を扱わない。法律に基づく申出は本人名義で行い、代理での請求は弁護士に依頼する。
指定を受けた事業者は、削除申出の方法を定めて公表し、インターネット経由で申し出られるようにしなければならない。申出を受けたら調査し、削除したかどうかを原則として7日以内に通知し、削除しない場合はその理由も示す。転載先が YouTube や X であれば、この期限が使える。
09削除の確認と再アップロード対策
要請を出しただけでは完了にしない。要請したURLを開き直し、投稿が実際に消えたものだけを削除完了と記録した。海外サイトは投稿ページだけ隠してファイルを残したり、別のURLへ移したりすることがある。この事例の削除完了も同じ基準で判断し、結果は報告書で依頼人に渡した。公表している削除率98.2%も、要請件数ではなく確認件数で数えた自社集計である。
再アップロードは削除の直後より、しばらくたってから現れることが多い。題名やファイル名が変わるため、キーワード検索では漏れる。そこで監視は動画そのものではなくメタデータとハッシュ値で行い、撮影物自体は作業が終われば削除する。見つかれば新しいURLを記録し、すぐに要請を出す。最初の投稿者の確認をどこまで行うかは契約時に依頼人と決めた。
監視は一度きりの検索ではなく、周期ごとに繰り返す。見つかった投稿は一回目と同じ手順を通る。保存してあるハッシュ値と照合し、新しいURLを記録し、正しい相手へ要請を出し、URLを開き直して消えたことを確かめる。しばらく出てこないことは、今後も出てこないことの証明にはならない。
Google 検索は、本人または代理人が申請でき、報告された画像と同じ画像も削除するよう最善を尽くすとする。審査されるのは申請したURLだけで、消えるのは検索結果のみである。StopNCII.org は端末上でハッシュを作り、画像も動画も端末から出ない。参加企業には Microsoft(Bing)や大手の成人向けサイトが含まれるが、効くのは参加企業の範囲だけである。
10この事例で分かったこと
海外のサイトでも、拡散範囲を正確に押さえ、経路ごとに正しい相手と根拠で要請すれば削除はできる。同時に、削除だけでは終わらない。再び上がる構造が残る限り、削除後の監視が最後の工程になる。
もう一つは始める時期である。時間がたつほど転載と共有リンクが増え、整理するURLも増える。気づいた直後にURLを控えて相談すれば、広がる前に片付けられる。一人で確かめようと時間を使うより、最初から範囲の確認を任せるほうが、本人の負担も結果的に小さくなる。依頼人がすることは多くない。状況を説明し、確認事項に答え、報告書を受け取ることである。
同じ状況にあるなら、順序は単純である。見つけたURLと日時を控える。投稿者にもサイトにも何も送らない。URLが分からなければ、本人の写真2〜3枚で探索を始められる。そのうえで一覧の管理、要請、確認を一か所に任せれば、本人が動画を見直す必要はなくなる。
よくある質問
運営者が返事をしないサイトでも消せるか
運営者が応じなくても、ホスティング事業者、CDN、ドメインの登録事業者へ要請を広げられる。Cloudflare は通報をホスティング事業者へ転送し、オリジンIPアドレスを伝えるとしている。結果は約束できないが、動ける相手は運営者だけではない。
名前を明かさないと相談できないか
最初の相談は匿名でよい。本人確認が必要になるのは、映っているのが申出人本人であることを要請書で示す段階である。
URLが分からない場合はどうするか
本人の写真2〜3枚から流出先を探す顔認識の探索で始められる。結果は担当者が一件ずつ確認してから要請に使う。
要請に動画を添付したほうがよいか
添付しない。正確なURLがあれば相手は投稿を特定でき、添付は複製を増やすだけである。
Google の削除で動画自体も消えるか
消えない。Google が削除できるのは検索結果だけで、サイト上の動画は運営者かホスティング事業者が消すまで残る。
リベンジポルノ防止法の特例は誰が使えるか
撮影対象者本人で、本人が死亡している場合は配偶者・直系の親族・兄弟姉妹である。照会から二日で削除できる仕組みである。
StopNCII.org は海外サイトにも効くか
参加企業にしか効かない。参加企業には Bing や大手の成人向けサイトが含まれるが、それ以外のサイトには届かない。
動画は保管されるのか
保管しない。監視はメタデータとハッシュ値で行い、撮影物自体は作業が終われば削除する。
確認した出典
- 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 - e-Gov 法令検索
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 - e-Gov 法令検索
- 同法施行規則 - e-Gov 法令検索
- 弁護士法 - e-Gov 法令検索
- 大規模特定電気通信役務提供者の指定 - 総務省
- 情報流通プラットフォーム対処法 関連情報 - ガイドライン等検討協議会
- 名誉毀損・プライバシー関係書式(私事性的画像用を含む) - ガイドライン等検討協議会
- Google 検索から個人的な性的コンテンツを削除する - Google 検索ヘルプ
- Cloudflare's abuse policies and approach - Cloudflare
- Reporting abuse - Cloudflare
- Registrar abuse reports - ICANN
- How StopNCII.org works - StopNCII.org
- Industry partners - StopNCII.org
本稿は一般的な情報であり、法的助言ではない。結論は個々の事実関係、相手方や裁判所の判断によって変わり、特定の結果を約束するものではない。プラットフォームの方針や法令上の義務は変わるため、記載は掲載日時点で確認した内容である。本文中のサービス名はそれぞれの権利者の商標であり、サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)はこれらと提携関係にない。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は法律事務を取り扱わないため、法的助言が必要な場合は弁護士に依頼すること。
CASE INTAKE
返事のないサイトに動画があるなら
サイト名しか分からなくても構わない。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は流出動画・画像の削除支援として、転載先の探索と分類、要請先と根拠の整理、削除の確認、再アップロードの監視を扱う。何を記録し何を削除するかも先に示す。相談は匿名で始められ、内容は外部に出さない。
すべての相談は匿名で行われます。