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PUBLIC RECORD企業の評判管理2026-10-26 更新· 約13分 閲覧· 作成・監修 サラジムカンパニー対応チーム

企業の風評被害対策|誹謗中傷と口コミへの削除手順

法人への書き込みは、個人の名誉毀損と同じ組み立てでは落ちる。使える条文が信用毀損及び業務妨害と不正競争防止法に広がる一方、「事実なら削除できない」場面も増える。ここでは対象の切り分けから各サイトの受付方法、送信防止措置依頼書、発信者情報開示、継続監視までを整理する。

ABSTRACT

企業案件で最初にやるのは、書き込みを「代表者個人の名誉」「法人の信用」「業務妨害」「競合による虚偽の告知」の四つに切り分ける作業である。切り分けを誤ると、同じ投稿でも根拠が立たない。情報流通プラットフォーム対処法の指定事業者には回答期限があるが、口コミサイトと非指定の掲示板は任意対応にとどまるため、順番の設計が成否を決める。

本文の条文・期限・法定刑は、e-Gov 法令検索、総務省、情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会、裁判所ウェブサイト、各サイトの削除依頼ページおよび Google の公式ヘルプの記載を、掲載日時点で確認したものである。

01最初に切り分ける四つの軸

法人が受ける書き込みは、根拠の立て方が一つではない。同じスレッドの中に、代表者個人への罵倒、会社の信用を落とす虚偽、来店を妨げる嫌がらせ、競合が流した虚偽の情報が混在していることが多い。混ぜたまま申出を出すと、どの主張も薄くなる。

  1. 代表者個人への書き込みか。氏名や顔が特定できるなら、個人の名誉・プライバシーで立てる。
  2. 法人の信用を落とす虚偽か。衛生状態、支払能力、商品の成分など、取引判断に関わる事実の摘示が中心になる。
  3. 業務妨害に当たるか。虚偽の風説や偽計で営業が実際に妨げられている事情を押さえる。
  4. 競争関係にある他人が流しているか。相手が同業なら不正競争防止法の枠に乗る。
  5. 右のどれでもない「主観的な感想」か。これは削除も賠償も通らない区分である。
最初に捨てる選択肢

投稿者に直接反論を書き込む、同じ掲示板に擁護の書き込みを増やす、口コミに感情的な返信を付ける、この三つは申出の信用を自分で落とす。Google は、気に入らないという理由だけの報告をしないよう明示している。応酬の記録は、後に相手方から「炎上は自作である」と主張される材料になる。

02対象の記録と社内の体制

企業案件では、担当者が複数になる。誰が何を記録したかが揃っていないと、同じ投稿を二重に申し出たり、既に削除された URL を再申請することになる。先に記録の様式を決めてから着手する。

投稿一件につき残すもの

  • ページの URL と、掲示板ならスレッド名とレス番号まで。
  • アドレスバーと表示日時を含む、切り取らない全画面のスクリーンショット。
  • 投稿アカウントの表示名、ID、プロフィールの URL。
  • 確認した日時。表に書くときは「2026.10.26 03:56」の形に揃える。
  • どの軸で立てるか(個人・信用・業務妨害・不正競争)の区分。
  • 申出の受付番号と、回答が来た日付。
  • 営業への影響を示す資料。予約のキャンセル記録、取引先からの問い合わせ記録など。

影響の資料は、後から作れない。業務妨害や著しい損害を主張する段階になって初めて必要になるため、最初の段階で集め始める。予約システムの取消し履歴、問い合わせ電話の記録、取引先からの照会メールは、どれも日が経つと取り出せなくなる。

社内では、窓口を一人に寄せる。複数の担当者が別々に報告を出すと、同じ投稿について別の受付番号が立ち、サイト側が重複申出として処理を止めることがある。記録の原本を置く場所と、申出を出す担当を先に決める。

03法人に使える条文

刑事の筋を立てるなら、個人向けの条文と法人向けの条文を分けて当てる。重要なのは、名誉毀損は社会的評価の低下があれば成立し、書かれた内容が真実かは成立の段階では問わないことである。刑法第230条第1項は「その事実の有無にかかわらず」と書いている。

条文行為法定刑
刑法第230条第1項公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損する3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
刑法第231条事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱する1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料
刑法第233条虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、またはその業務を妨害する3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

第233条は信用毀損及び業務妨害の条文で、保護されるのは個人の名誉ではなく信用と業務である。衛生状態や資金繰りについての嘘のように、取引の判断に関わる事実を流された場合はここに当たる。評価の低下だけでなく、虚偽であることと流布の事実を押さえる必要がある。

競合が相手なら民事も変わる

不正競争防止法第2条第1項第21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、または流布する行為を不正競争と定める。これに当たる場合、営業上の利益を侵害され、または侵害されるおそれがある者は第3条で侵害の停止または予防を請求でき、第4条で損害賠償を請求できる。相手が同業者かどうかを先に確認する価値はここにある。

04情プラ法が定める期限

2001年のいわゆるプロバイダ責任制限法は、令和6年の改正で「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に改称された。通称は情報流通プラットフォーム対処法、略して情プラ法である。関係ガイドラインは2025年4月1日施行とされている。

条文内容期限
第22条削除申出を受け付ける方法を定めて公表する受付日時が申出者に分かる方法であること
第23条権利が不当に侵害されているかを調査する遅滞なく
第25条判断の結果を申出者へ通知する申出を受けた日から7日
第26条送信防止措置の実施基準を公表する措置を講ずる日の14日前まで
第28条申出の受付状況と対応状況を公表する公表年度の経過後2か月以内

第25条の本文は「申出を受けた日から十四日以内の総務省令で定める期間内」と書くが、実際の期間は施行規則第16条で7日と定められている。14日は法律が許す上限であって、運用上の期限ではない。期限が及ぶのは第20条第1項で大規模特定電気通信役務提供者に指定された者だけで、口コミサイトや非指定の掲示板は対象外である。

05サイトごとの受付方法

同じ誹謗中傷でも、受付方法はサイトごとに別物で、提出方法を外すとそれだけで受け付けられない。文案より先に窓口の条件を読む。

サイト受付方法注意点
爆サイ.com本人確認済アカウントでログインして法的申請実印での押印と3か月以内に発行された印鑑登録証明書が必要
5ちゃんねる削除要請の入口から削除要請板またはメール情プラ法の指定事業者ではなく、回答期限の対象外
Google マップビジネスプロフィールから報告審査は通常数日。違反なしの判定には1回限りの再審査請求
転職会議口コミ掲載ガイドライン運営は原則として口コミの削除は承っていないと明記
X日本向け報告フォーム指定事業者。削除基準はルールとポリシーのページで公表
Yahoo!ファイナンスLINEヤフーの削除申出窓口指定サービス。銘柄の掲示板はここから申し出る
代行できない範囲がある

ホスラブは、削除請求の代理・代行を業として行うことは弁護士法72条の非弁行為に当たるとして、そのような請求には一切応じないと明示する。請求行為そのものは、本人である会社が行うか、弁護士に依頼する。事務の支援と、本人に代わって請求することは別である。

06口コミ側の判断基準

口コミは掲示板と違い、サイトのポリシー違反として処理される比重が大きい。Google のユーザー投稿コンテンツのポリシーは、なりすまし、ハラスメント、誤解を招く内容、本人の同意のない個人情報、虚偽のエンゲージメントを禁止する。虚偽のエンゲージメントには、実体験に基づかない投稿、対価を受けた口コミ、一人のユーザーが複数アカウントから行う投稿が含まれる。

  • どのポリシーのどの項目に当たるかを、一件ごとに対応させる。まとめて「虚偽です」と書く報告は通りにくい。
  • 来店記録や予約記録がない投稿は、実体験に基づかないことの説明材料になる。
  • 同一人物が複数アカウントから投稿している疑いがあれば、投稿日時と文体の一致を示す。
  • 転職会議のガイドラインは、実体験に基づかない投稿、憶測や伝聞、給与や労働時間が現実にあり得ない数値の投稿を原則削除対象とし、個人のプライバシーを侵害すると判断した投稿も削除対象としている。
  • 投稿者が退会しても投稿は残る設計が多い。アカウントの消滅を待つ対応は成立しない。

口コミは、削除が通らない前提で組み立てたほうが実務は進む。ポリシー違反に当たらない低評価は残る。そのため、申出と並行して新しい投稿が積み上がる状態を作るかどうかを決める。ここで対価を払って投稿を集めると、Google のポリシーが禁じる虚偽のエンゲージメントそのものになり、プロフィール全体が処分の対象になる。

07送信防止措置依頼書

窓口が整備されていない相手には、情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会(旧プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会)が公開している書式を使う。名誉毀損・プライバシー関係の書式は 協議会の関連情報サイトから入手できる。使うのは書式①-1「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」である。

  • 掲載されている場所。URL のほか、電子掲示板の名称、板内の書込み場所、日付まで書く欄がある。
  • 侵害されたとする権利。法人なら名誉権のほか、信用の毀損や営業上の利益の侵害を明示する。
  • 権利が侵害されたとする理由。被害の状況まで書く欄で、ここが判断の中心になる。
  • 法人の場合は、代表者の資格を示す書面の添付を求められることがある。
  • 住所・氏名(商号・代表者名)の記名と押印、電話番号と電子メールアドレス。
発信者に渡る前提で書く

太枠内に記載した内容は、プロバイダから発信者にそのまま通知されることに同意する前提で作られている。氏名を発信者へ開示してよい場合は所定の欄に○を記入する運用で、○がなければ氏名開示に同意していない扱いになる。プロバイダが発信者に照会し、照会を受けた日から7日を経過しても同意しない旨の申出がなければ、削除しても発信者への損害賠償責任を負わない(情プラ法第3条第2項第2号)。

08従業員や退職者が書いた場合

社内事情を知る者が書いた投稿は、内容の多くが事実である。ここで一括して虚偽と主張すると、相手方から一点を突かれて申出全体の信用が落ちる。先に、虚偽の部分と事実の部分を分ける。

刑法第230条の2は、公共の利害に関する事実に係り、かつ目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合に、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは罰しないと定める。労務環境についての投稿は、この抗弁が立ちやすい領域である。

  • 虚偽の部分だけを対象に特定する。数値や固有名詞の誤りは、その一点で立てられる。
  • 営業秘密や顧客情報が含まれていれば、名誉の問題とは別の根拠になる。
  • 個人を特定できる情報が書かれている場合は、その従業員本人の申出として立てる経路もある。
  • 改善済みの事項については、時の経過を主張する組み立てに切り替える。

09発信者情報開示と仮処分

投稿者を特定する手続は、改正法で非訟手続の発信者情報開示命令事件として整備され、東京地方裁判所民事第9部が書式とチェックリストを公開している。要件は情プラ法第5条の二つで、権利が侵害されたことが明らかであること、開示を受けるべき正当な理由があることである。

  • 開示命令。コンテンツプロバイダには投稿時の IP アドレス等、アクセスプロバイダには氏名・住所等の開示を求める。
  • 提供命令。コンテンツプロバイダに対する開示命令と併せて申し立てる。
  • 消去禁止命令。アクセスプロバイダに対して併せて申し立てる。
  • 申立手数料は、各申立てごとに1,000円。当事者が複数ならその人数分の収入印紙が必要になる。
  • 同部は、開示命令事件において投稿記事の削除を求めることはできないと明示している。削除は保全命令の申立て等による。

任意の申出が止まった投稿を消させる手段が削除仮処分である。民事保全法第23条第2項は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害または急迫の危険を避けるため必要なときに発することができると定め、権利と保全の必要性は疎明しなければならない(同法第13条第2項)。

10検索結果と継続監視

サイト上の削除と検索結果への対応は別の手続である。Google は、法律に違反している、または権利を侵害していると思われるコンテンツについて法的な理由による削除リクエストを受け付けている。審査対象は提出した URL のみで、出していないページは見られない。

  • 社名、ブランド名、代表者名、主要商品名を監視語にする。表記ゆれと伏せ字も入れる。
  • 削除済みの URL も定期的に見直す。運営者が変わると復活することがある。
  • 新しい申出には、過去の受付番号を必ず添える。同一案件として扱われ、判断が早くなる。
  • 指定事業者は第28条で対応状況を年度ごとに公表する。相手の処理件数を把握した上で督促する。
  • Google に送った個別の法的通知はLumen に送付されて公開されることがある。申請の存在が外に出る前提で文面を書く。

サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)が担うのは、投稿の記録と区分、各サイトが指定する受付方法の確認、書式の下書き、検索結果と地図の口コミへの申請、再投稿の監視という事務の部分である。法律事務は取り扱わず、訴訟代理人にはならない。

よくある質問

会社への悪口でも名誉毀損になりますか

社会的評価の低下があれば刑法第230条第1項の問題になる。取引判断に関わる虚偽で営業が妨げられている場合は、第233条の信用毀損及び業務妨害の筋も立つ。

書かれた内容が事実なら消せませんか

名誉毀損としては真実性の抗弁で落ちる可能性が高い。虚偽の部分だけを切り出すか、プライバシーや個人情報の側へ根拠を組み替える。

競合が流した噂への対応は違いますか

違う。相手が競争関係にあるなら不正競争防止法第2条第1項第21号に当たり、第3条で侵害の停止または予防、第4条で損害賠償を請求できる。

削除の回答はいつ来ますか

指定を受けた事業者なら、申出を受けた日から7日以内が原則(施行規則第16条)。口コミサイトと非指定の掲示板は期限の対象外である。

Google マップの口コミが削除されませんでした

違反なしと判定された場合に限り、1回限りの再審査請求ができる。条件を満たす口コミを最大10件まで選べる。

星だけの低評価も消せますか

ポリシー違反に当たらなければ対象外である。実体験に基づかないことを示せるなら虚偽のエンゲージメントとして報告する。

法人でも発信者情報の開示を受けられますか

受けられる。要件は情プラ法第5条の二つで、権利侵害が明らかであることと、開示を受けるべき正当な理由があることである。

業者に削除請求を代行してもらえますか

請求行為そのものの代行は弁護士法72条の問題になる。記録、窓口の確認、書式の下書き、監視といった事務の支援と、本人に代わって請求することは別である。

公開2026-10-26
最終更新2026-10-26
閲覧時間約13分

本稿は一般的な情報であり、法的助言ではない。結論は個々の事実関係、相手方や裁判所の判断によって変わり、特定の結果を約束するものではない。プラットフォームの方針や法令上の義務は変わるため、記載は掲載日時点で確認した内容である。本文中のサービス名はそれぞれの権利者の商標であり、サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)はこれらと提携関係にない。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は法律事務を取り扱わないため、法的助言が必要な場合は弁護士に依頼すること。

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サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は、上記の事務作業を支援する。投稿の記録と区分、各サイトが指定する受付方法の確認、書式の下書き、検索結果と地図の口コミへの申請、社名と代表者名の継続監視まで一連で扱う。相談内容は外部に出さない。

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