Yahoo! JAPANなど国内ポータルの情報を消す手順
国内ポータルは、サービスごとに受付が分かれている。LINEヤフーは情報流通プラットフォーム対処法の指定事業者だが、指定されているのは一部のサービスだけで、検索そのものは含まれない。ここでは指定サービスの窓口、各サービスの削除基準、窓口のないポータルへの書式、そして検索側の別手続を整理する。
ABSTRACT
国内ポータルで最初に確認するのは、その投稿が載っているサービス名である。LINEヤフーの場合、指定サービスとして届け出られているのは Yahoo!知恵袋、Yahoo!ファイナンス、LINEオープンチャット、LINE VOOM で、窓口は共通のフォーム、削除基準はサービスごとに別の URL で公表されている。サービス名を特定しないまま「Yahoo! に出す」と考えると、どの基準で判断されるのか分からないまま却下される。
本文の条文・期限・窓口は、e-Gov 法令検索、総務省が公表する削除申出窓口の一覧、情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会、裁判所ウェブサイト、および各サービスの公式な利用のルール・コミュニティー利用規則の記載を、掲載日時点で確認したものである。
目次
01ポータルと検索は別の手続
同じ画面に見えても、申出の相手は二つある。投稿が置かれているサービスと、それを一覧に出している検索である。前者を消さないかぎり記録は残り、後者だけを止めても直接リンクでは到達できる。最初に、どちらを止めたいのかを決める。
- 投稿のサービス名を特定する。Yahoo!知恵袋の回答か、Yahoo!ファイナンスの掲示板か、LINEオープンチャットのトークかで窓口が変わる。
- そのサービスが情プラ法の指定サービスかを確認する。指定されていれば回答期限がある。
- サービスが公表している削除基準のどの項目に当たるかを決める。
- 窓口が用意されていない相手には送信防止措置依頼書を送る。
- 検索側の非表示は、別の申請として出す。
総務省が公表する削除申出窓口の一覧で、LINEヤフー株式会社の参考サービス名として挙げられているのは Yahoo!知恵袋、Yahoo!ファイナンス、LINEオープンチャット、LINE VOOM である。Yahoo!検索はここに含まれていない。検索結果の扱いを情プラ法の期限で動かすことはできない。
02LINEヤフーの指定サービス
削除申出の窓口は共通で、削除基準だけがサービスごとに分かれている。申出にはサービス名と対象の特定を書くため、先に基準の URL を開いて該当項目を確認しておく。
| サービス | 削除申出窓口 | 削除基準 |
|---|---|---|
| Yahoo!知恵袋 | LINEヤフーの共通窓口 | 利用のルール |
| Yahoo!ファイナンス | 同じ共通窓口 | 掲示板の削除基準 |
| LINEオープンチャット | 同じ共通窓口 | 禁止行為 |
| LINE VOOM | 同じ共通窓口 | コミュニティー利用規則 |
LINE VOOM については、サービス提供そのものが2026年9月30日をもって終了している。終了後はアクセスができなくなり、投稿の新規作成や他のユーザーの投稿の閲覧に加え、自分の投稿データの閲覧・復元も行えないと案内されている。過去の投稿を根拠に申出を立てる場合、証拠を手元に残しているかが前提になる。
03Yahoo!知恵袋の禁止事項
知恵袋の利用のルールは、禁止事項を19項目に分けて公表している。申出では、どの項目に当たるかを一件ごとに割り当てる。
- 禁止事項1。過度な批判、誹謗中傷など他人を攻撃したり、不快にさせる内容の投稿。伏せ字にしていても名誉毀損が成立する場合があると明記されている。
- 禁止事項7。知的財産権・プライバシー・肖像権等の権利を侵害する投稿。
- 禁止事項8。個人を特定できる情報の投稿。
- 禁止事項9。明らかな偽誤情報に関する投稿。
- 禁止事項15。なりすまし行為。
- 禁止事項16。自作自演や印象を煽動する行為。複数アカウントからの投稿が疑われる場合に使う。
ルールは、相手が著名人や企業、団体の場合も、根拠のない批判や度を過ぎた批判を行った場合は名誉毀損や侮辱に該当する可能性があると書いている。法人案件でも、この基準で立てられる。投稿のそばにある違反報告ボタンは別経路で、情プラ法に基づく削除申出としては扱われない。
04情プラ法が定める期限
2001年のいわゆるプロバイダ責任制限法は、令和6年の改正で「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に改称された。通称は情報流通プラットフォーム対処法、略して情プラ法である。関係ガイドラインは2025年4月1日施行とされている。
| 条文 | 内容 | 期限 |
|---|---|---|
| 第21条 | 削除申出窓口と削除基準を届け出る | 総務省が一覧で公表 |
| 第22条 | 削除申出を受け付ける方法を定めて公表する | 受付日時が申出者に分かる方法であること |
| 第23条 | 権利が不当に侵害されているかを調査する | 遅滞なく |
| 第25条 | 判断の結果を申出者へ通知する | 申出を受けた日から7日 |
| 第26条 | 送信防止措置の実施基準を公表する | 措置を講ずる日の14日前まで |
| 第28条 | 申出の受付状況と対応状況を公表する | 公表年度の経過後2か月以内 |
第25条の本文は「申出を受けた日から十四日以内の総務省令で定める期間内」と書くが、実際の期間は施行規則第16条で7日と定められている。14日は法律が許す上限であって、運用上の期限ではない。LINE VOOM のコミュニティー利用規則は、自らがこの法律の第26条第1項の基準に当たることを明記しており、公表された規則がそのまま判断の基準になることが分かる。
発信者の意見を聴くとき、侵害情報調査専門員に調査させるとき、その他やむを得ない理由があるときは、7日以内にその旨だけを知らせ、判断後に遅滞なく結果を通知すれば足りる(第25条第2項)。通知が来ないのではなく、延びる仕組みがあると理解しておく。
05対象の特定と添付
ポータルでは、同じ質問や同じ銘柄の掲示板に投稿が大量に並ぶ。対象の特定が曖昧な申出は、処理されないまま戻ってくる。
申出一件につき用意するもの
- サービス名。Yahoo!知恵袋、Yahoo!ファイナンス、LINEオープンチャットのいずれかを明記する。
- ページの URL と、質問 ID・回答 ID・レス番号など、そのサービスでの位置を示す番号。
- 投稿日時。表に書くときは「2026.10.26 03:56」の形に揃える。
- アドレスバーと表示日時を含む、切り取らない全画面のスクリーンショット。
- 該当する削除基準の項目名。知恵袋なら禁止事項の番号まで書く。
- 権利が侵害されたとする理由。何が書かれ、どう評価が下がったかを事実として書く。
- 本人であることを示す資料。求められたときに出せるよう用意しておく。
LINEオープンチャットは、参加者の中で流通する性質があるため、トークルーム名と該当メッセージの時刻まで押さえる。あとから参加者が増えると、同じ位置を指す手がかりが減る。
Yahoo!ファイナンスの掲示板は、銘柄ごとにスレッドが分かれている。同じ文面が複数の銘柄に投稿されていることが多いため、銘柄コードと投稿番号を組にして一覧にする。一件ずつ分けて出すか、同一の投稿者による連続投稿としてまとめるかで、受付番号の数が変わる。後の督促のしやすさを考えると、投稿者単位でまとめたほうが追いやすい。
06窓口のないポータルへの書式
指定を受けていないポータルやサービスには、情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会(旧プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会)が公開している書式を使う。協議会の関連情報サイトから入手できる。
- 書式①-1 侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書(名誉毀損・プライバシー関係)。一般の権利侵害に使う。
- 書式①-3 私事性的画像侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書。性的な画像・動画はこちらを使う。
- 記載欄には、電子掲示板の名称、板内の書込み場所、日付、ファイル名まで書く箇所が用意されている。
- 住所・氏名の記名と押印、電話番号と電子メールアドレス。
プロバイダが発信者に同意を照会したあと、一般の侵害情報では7日の経過で削除できる(情プラ法第3条第2項第2号)。これに対し私事性的画像記録では2日でよい(リベンジポルノ防止法第4条)。書式①-1 ではなく①-3 を使うだけで、相手方の待機期間が5日短くなる。
07検索側は別の申請になる
検索結果への対応は、サービス上の削除とは別の手続である。情プラ法の指定サービスに検索が含まれていないため、根拠は検索事業者のポリシーか日本法に基づく請求のいずれかになる。
- Google 検索。住所、電話番号、メールアドレス、政府発行の ID 番号、銀行口座番号、署名や身分証明書の写真、医療記録などについて個人情報の削除リクエストがある。審査対象は提出した URL のみである。
- 性的なコンテンツや本人と特定できる偽造コンテンツは、個人的な性的コンテンツの削除という別の区分で受け付けられている。
- ポリシーの区分に当てはまらない場合は、法律に違反している、または権利を侵害していると思われるコンテンツとして、法律に基づく削除の窓口に出す。
- Bing。Microsoft は検索結果の削除を限られた状況および条件に限定していると説明し、削除を保証する記載はない。削除された場合でも、情報は元のウェブサイトで引き続き利用できると明示している。
- 日本法の請求としては、個人情報の保護に関する法律第35条の利用停止等の請求がある。第171条は、国内にある者を本人とする個人情報を外国において取り扱う場合にも適用されると定める。
どの経路でも結論は同じで、検索から消えても記録そのものは残る。元のページを消す作業と並行して進める必要がある。
国内では、ポータル内の検索と外部の検索エンジンを分けて考える必要もある。サービス内の検索窓から出てくる結果は、そのサービスの削除申出で止まる。外部の検索結果は別の事業者が持っている。二か所に出すのが前提で、片方だけで終わらせると、どちらかの経路から到達される。
08最高裁が示した枠組み
検索結果そのものの削除については、最高裁判所第三小法廷平成29年1月31日決定(平成28年(許)第45号)が判断の枠組みを示している。事実を公表されない利益と、検索結果として提供する理由とを比べ、公表されない利益が明らかに優越する場合に削除を求めることができるとされた。
考慮事情として挙げられているのは、事実の性質や内容、伝達の範囲、被害の程度、社会的地位や影響力、記事の目的や意義、掲載時と現在の社会状況、事実を記載する必要性である。ポータル上の投稿を相手にする場合と、検索事業者を相手にする場合で、主張の立て方を分ける必要がある。
投稿を掲載する側を相手にした事例として、最高裁判所第二小法廷令和4年6月24日判決(令和2年(受)第1442号)がある。短文投稿のネットワークに逮捕の事実を示すメッセージが投稿された事案で、逮捕から約8年が経過し、罰金刑の効力も失われ、報道記事も既に削除されていたことなどを挙げて削除請求を認めた。裁判要旨は「明らかに」という限定を用いていない。
09動かないときの裁判手続
任意の申出で動かない相手には、裁判手続に移る。削除を求める保全命令は、仮の地位を定める仮処分として扱われる。民事保全法第23条第2項は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害または急迫の危険を避けるため必要なときに発することができると定める。
- 申立ては、その趣旨と、保全すべき権利または権利関係および保全の必要性を明らかにして行い、権利と必要性は疎明しなければならない(第13条)。
- 保全命令は、担保を立てさせて、または立てさせないで発することができる(第14条第1項)。
- 投稿者の特定は別の申立てである。東京地方裁判所民事第9部は、発信者情報開示命令事件では投稿記事の削除を求めることはできないと明示している。
- 開示命令・提供命令・消去禁止命令の申立手数料は、各申立てごとに1,000円である。
10再投稿の監視
- 削除された投稿の本文の特徴語を監視語にする。同じ文面が別の質問や別の板に移って戻ってくる。
- 削除済みの URL も定期的に見直す。運営者やサービス構成が変わると復活することがある。
- 新しい申出には、過去の受付番号を必ず添える。同一案件として扱われ、判断が早くなる。
- 指定事業者は第28条で対応状況を年度ごとに公表する。相手の処理件数を把握した上で督促する。
- サービス終了が告知された場合は、終了前に証拠を取り直す。終了後は自分の投稿データすら閲覧できなくなる。
サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)が担うのは、サービス名と対象の特定、削除基準との対応づけ、共通窓口への申出、書式の作成と送付、検索結果への申請、再投稿の監視という事務の部分である。法律事務は取り扱わず、訴訟代理人にはならない。
よくある質問
Yahoo!検索の結果も情プラ法で消せますか
できない。総務省が公表する一覧で LINEヤフーの参考サービス名として挙げられているのは Yahoo!知恵袋、Yahoo!ファイナンス、LINEオープンチャット、LINE VOOM で、検索は含まれていない。検索は別の経路になる。
知恵袋の違反報告ボタンで足りますか
足りない。違反報告は別経路で、情プラ法に基づく削除申出としては扱われない。期限のある回答を求めるなら共通窓口から出す。
削除の回答はいつ来ますか
指定サービスなら、申出を受けた日から7日以内が原則(施行規則第16条)。意見聴取や専門員の調査に入る場合は、その旨を7日以内に知らせたうえで延びる。
LINE VOOMの投稿はもう消せませんか
LINE VOOM は2026年9月30日にサービス提供を終了し、終了後はアクセスできないと案内されている。過去の投稿を争うなら、手元に残した証拠が前提になる。
伏せ字で書かれていても対象になりますか
知恵袋の利用のルールは、氏名や法人名を伏せ字にしていても名誉毀損が成立する場合があると明記している。対象から外れるとは限らない。
オープンチャットのトークも申し出られますか
LINEオープンチャットは指定サービスに挙げられている。トークルーム名と該当メッセージの時刻まで特定して出す。
検索から消えればそれで終わりですか
終わらない。Google が削除できるのは検索結果ページ上のコンテンツだけで、記録はサイトに残る。Bing も同じ説明をしている。
指定されていないポータルはどうしますか
回答期限の対象外なので、送信防止措置依頼書での請求と、動かなければ削除仮処分という順になる。
確認した出典
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 - e-Gov 法令検索
- 同法施行規則(第16条・第17条) - e-Gov 法令検索
- 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(第4条) - e-Gov 法令検索
- 個人情報の保護に関する法律(第35条・第171条) - e-Gov 法令検索
- 民事保全法(第13条・第14条・第23条) - e-Gov 法令検索
- 情プラ法第21条に基づき届け出られた削除申出窓口及び削除基準(一覧) - 総務省
- インターネット上の違法・有害情報に対する対応 - 総務省
- 情報流通プラットフォーム対処法に基づく削除申出窓口 - LINEヤフー
- 利用のルール(禁止事項1から19) - Yahoo!知恵袋
- 掲示板の削除基準 - Yahoo!ファイナンス
- 禁止行為 - LINEオープンチャット
- LINE VOOMコミュニティー利用規則 - LINEヤフー
- 情報流通プラットフォーム対処法 関連情報サイト - ガイドライン等検討協議会
- 名誉毀損・プライバシー関係書式(書式①-1 ほか) - ガイドライン等検討協議会
- Google 検索から個人情報を削除する - Google 検索ヘルプ
- 法律に基づく削除リクエスト - Google 法的ヘルプ
- Bing が検索結果を提供する方法 - Microsoft サポート
- 平成29年1月31日 第三小法廷決定 平成28年(許)第45号 - 裁判所
- 令和4年6月24日 第二小法廷判決 投稿記事削除請求事件 - 裁判所
- 発信者情報開示命令事件 - 東京地方裁判所民事第9部
本稿は一般的な情報であり、法的助言ではない。結論は個々の事実関係、相手方や裁判所の判断によって変わり、特定の結果を約束するものではない。プラットフォームの方針や法令上の義務は変わるため、記載は掲載日時点で確認した内容である。本文中のサービス名はそれぞれの権利者の商標であり、サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)はこれらと提携関係にない。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は法律事務を取り扱わないため、法的助言が必要な場合は弁護士に依頼すること。
CASE INTAKE
まずサービス名と該当する基準を確定させる
サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は、サービス名と対象の特定、公表されている削除基準との対応づけ、共通窓口への申出、書式の作成と送付、検索結果への申請、再投稿の監視まで一連で扱う。相談内容は外部に出さない。
すべての相談は匿名で行われます。