ニュース記事の削除|新聞社・ポータル・転載・検索結果の順に消す
自分の名前が出たニュース記事は、新聞社や出版社のサイト一か所にあるわけではない。Yahoo!ニュースなどのポータル、ブログや掲示板への転載、検索結果、アーカイブの写しまで層ごとに残り、層ごとに消せる人が違う。順番を誤ると、検索エンジンが元記事を読み直した時点で結果が戻ってくる。
ABSTRACT
記事の削除は、記事が今どこに残っているかと、記事の性質を分けることから始まる。事実と違う記事は発行元への訂正依頼、テレビの報道なら放送法の訂正放送の請求とBPOがある。不起訴や無罪で終わった事件の記事は、結果を示す書類を添えて追記や匿名化を求める。事実を伝えた記事は発行元との交渉か、検索結果の削除申請になる。ポータルと転載は元記事が動いてから、検索結果は最後に整理する。
本稿は2026年11月4日時点で、e-Gov 法令検索の放送法、放送倫理・番組向上機構(BPO)、総務省、裁判所ウェブサイト、Yahoo!ニュースの運営方針、LINEヤフーの削除申出窓口、Internet Archive、Google の各ヘルプの記載を確認してまとめたものである。
目次
01記事が残る五つの層
相談の多くは「名前で検索するとあの記事が一番上に出る」という一言から始まる。だが検索結果の一行は、記事の入口にすぎない。その裏には最大で五つの層があり、層ごとに決める人が違う。
| 層 | 決める人 | 現実的な依頼 |
|---|---|---|
| 新聞社・出版社の元記事 | 編集部・発行元 | 訂正、追記、匿名化、削除 |
| Yahoo!ニュースなどのポータル | 配信した媒体(パートナー) | 媒体に依頼し、残りを指摘 |
| ブログ・掲示板・まとめの転載 | 各サイトの運営者 | 権利侵害を理由とする削除申出 |
| 検索結果のタイトルと抜粋 | 検索事業者 | 更新の申請、削除の申請 |
| スクリーンショット・アーカイブ | 保管サイトの運営者 | 個別の削除依頼 |
Google は、ページを削除できるのはサイトの所有者であり、検索結果から外れてもページ自体は残ると案内している。元記事がそのままの状態で検索結果だけを消そうとしても、まず通らない。作業は元記事から外側へ進める。
最初にやるのは、本人の名前と記事の見出しで検索し、出てきたものを層ごとに一覧にすることである。同じ記事でも、発行元のサイト、ポータル、転載先で URL もタイトルも少しずつ違う。一覧表がないまま依頼を始めると、どこまで片付いたのかが誰にも分からなくなる。
02記事の性質で使える手段が変わる
次に分けるのは記事の性質である。「事実と違う記事しか消せない」「事実なら何もできない」という思い込みはどちらも半分しか正しくない。
| 記事の状況 | 使える手段 | 決め手 |
|---|---|---|
| 事実と違う内容が報じられた | 発行元への訂正依頼、テレビなら訂正放送の請求 | 誤りを示す資料 |
| 自分の言い分が載っていない | コメントや追記の掲載依頼 | 発行元の判断 |
| 逮捕・書類送検の後、不起訴や無罪 | 続報、追記、匿名化の依頼 | 処分や判決を示す書類 |
| 事実だが古く、一般人の実名が残る | 削除・匿名化の依頼、検索結果の削除申請 | 時間の経過と現在の被害 |
| 名誉毀損が続き、発行元が応じない | 弁護士による削除請求・仮処分 | 記事が真実でないことの立証 |
新聞・雑誌・ネットメディアへの依頼は、多くが法律上の請求権ではなく発行元の判断に委ねられる。だからこそ、感情ではなく「事情が変わった」ことを示す資料の質で結果が変わる。
誤りを主張するなら、どの文が、なぜ事実と違うのかを一文ずつ特定する。記事全体が不当だという書き方では、編集部はどこを直せばよいか判断できず、結局そのまま残る。評価や感想の部分は、誤りとして扱われにくい。
一本の記事に複数の問題が重なることも多い。誤報の部分は訂正、古い実名の部分は匿名化、検索の部分は削除申請と、問題ごとに手段を分けて並行させる。
03新聞社・出版社への削除・訂正依頼
依頼は記者個人ではなく、記録が残る編集部や読者窓口の公式の経路で送る。対象記事を媒体名・見出し・掲載日・URLで特定し、問題の箇所を一文ずつ引用し、求める措置を一段落にまとめる。全文削除が難しければ、実名を伏せる匿名化、写真の削除、見出しの修正、検索エンジンに表示させない設定など、範囲を絞った依頼のほうが通りやすい。
依頼書に入れるもの
- 媒体名、見出し、掲載日、記事のURL。転載先の一覧も添える。
- 問題の箇所を要約せず原文のまま引用したもの。
- 誤りや事情の変化を示す資料(判決、処分の通知、合意書など)。
- 求める措置と、それが難しい場合の代わりの案。
- 連絡先。代理人が出すなら委任状。
- 発行元を非難する言葉や脅しは書かない。
依頼が受け入れられやすいのは、記事の時点から事情が変わったことを書面で示せる場合である。不起訴や無罪の書類、当事者間の合意で紛争が終わったことを示す資料、報道当時も今も公人ではないこと、実名や顔写真、勤務先が残っていることで就職や取引に具体的な支障が出ていることなどがそれに当たる。
返答がなければ、最初の依頼日を示して一度だけ催促し、その後は次の層の作業に移る。同じ依頼を何度も送っても結果は変わらない。
依頼文はそのまま社内で回覧され、場合によっては後から話題にされることもある。公開されても困らない文面で、事実と求める措置だけを書く。非難や脅しの言葉は、受け入れる理由を編集部から奪う。
04テレビ報道は放送法とBPO
テレビやラジオの報道には、新聞にない法律上の手続がある。放送法は、真実でない放送で権利を侵害された本人や直接の関係人から、放送のあった日から3か月以内に請求があれば、放送事業者は遅滞なく調査し、真実でないと判明した日から2日以内に訂正または取消しの放送をしなければならないと定める。放送事業者は放送後3か月間、番組を保存する義務も負う。
BPO(放送倫理・番組向上機構)は NHK と民放連が設けた第三者機関で、放送人権委員会が放送による名誉やプライバシーの侵害の申立てを無料で審理する。対象は放送された番組で、原則として放送から3か月以内に放送局へ申し立て、1年以内に委員会へ申し立てたもの、かつ局との話し合いが相容れない状況になっているものに限られる。申し立てられるのは、個別の番組によって本人やその家族の名誉、プライバシーなどが侵害された場合で、訴訟や調停で係争中の案件は原則として扱わない。委員会は第三者の立場から審理する。
請求は放送局の視聴者窓口に書面で出し、番組名、放送日時、問題の発言や字幕を特定する。番組の保存義務は原則として放送後3か月なので、録画や記録を自分でも確保し、請求は早く出すほど確認が容易になる。
BPO は放送への苦情を扱う機関であり、新聞・雑誌・ネット記事は審理の対象にならない。テレビ局のサイトに載った記事でも、まず放送された番組かどうかを確認する。
05不起訴・無罪で終わったとき
一般の方からいちばん多いのは、逮捕や書類送検は報じられたのに、その後の結果がどこにも報じられていないという相談である。この場合に必要なのは削除の要求ではなく、編集部が知らなかった新しい事実である。
- 不起訴処分告知書や無罪判決など、結果を示す書類を添える。
- 記事の冒頭への追記か続報、見出しへの結果の反映を求める。
- 一般人であれば、実名と写真を記事から外すよう求める。
- 本文を変えないなら、検索エンジンに表示させない設定を求める。
結果の報道は、こちらから働きかけない限り出ないことが多い。記事が出てから年月がたっていても、結果を示す書類があれば依頼の根拠になる。書類の写しを出す際は、本人以外の個人情報や事件番号など不要な部分を伏せる。
この書類は検索結果の削除申請でも使う。最高裁は、記事が掲載された時の社会的状況とその後の変化を、削除の可否を判断する要素の一つに挙げている。
06Yahoo!ニュースなどのポータル
Yahoo!ニュースは運営方針で、新聞・雑誌・テレビ局・ウェブ媒体などのパートナーが記事を直接入稿し、自動的に公開されると説明している。掲載期間はパートナーとの契約で異なり、契約が終われば掲載も終わる。記事の内容への指摘はパートナーに直接問い合わせるよう求めつつ、Yahoo!ニュースに連絡があった場合もパートナーに連絡するとしている。
注目すべき一文がある。当事者がプレスリリースや公式サイトで記事が事実と異なると表明した場合、Yahoo!ニュースがその異議を併せて掲載したり、記事を削除したりすることがあるという。企業や公人なら、事実関係を自社サイトで明示することが一つの手段になる。
Google ニュースも、自分で掲載していない記事は発行元に連絡するよう案内している。発行元がページを修正して再公開すれば反映され、削除には数日かかることがあるという。発行元が対応した後も誤った内容が Google ニュースに残る場合は、正確な見出しを添えてフォームから報告できる。
ポータルやニュースアプリに載った記事は、ページに表示される媒体名と配信日時で配信元を特定し、記録してから発行元に依頼する。発行元が自社サイトの記事を直しても、ポータル側の記事が自動で同じ状態になるとは限らないため、依頼後に一件ずつ確認する。
07ヤフコメ・ブログ・掲示板の転載
元記事が直っても、記事を丸ごと写したブログやまとめ、掲示板の書き込みは残る。元記事が消えると、むしろ転載が検索の上位に上がってくる。
著作権を理由にした削除依頼は、記事に名前が出た本人には使いにくい。記事の著作者は本人ではなく、Yahoo!ニュースの記事ページにも配信元の媒体の著作権表示が付いている。転載は名誉毀損やプライバシー侵害を理由に、その運営者へ申し出る。
情報流通プラットフォーム対処法で指定を受けた大規模な事業者は、削除の申出に対して原則7日以内に判断して通知する。LINEヤフーは、Yahoo!知恵袋、Yahoo!ファイナンス掲示板、ヤフコメ、LINE オープンチャット、LINE VOOM の5サービスについて、専用のフォームと郵送で申出を受け付けており、郵送では侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書などの書類を送る。元記事が訂正・削除されたなら、その事実を資料に加える。
この7日の定めは、指定を受けた事業者に対するものである。個人のブログや小規模な掲示板には期限がなく、運営者の連絡先が見当たらないサイトも多い。その場合は、サイトを置いているサーバーの事業者に申し出る経路を探す。
08検索結果の削除申請
元記事が消えたのに検索結果に古いタイトルや抜粋が残っていれば、Google の古いコンテンツの削除を使う。サイトから削除された内容がまだ表示されている場合のための手続であり、公開中のページの情報を消すものではない。
記事が残っている場合は、検索事業者への削除請求になる。最高裁は、事実の性質と内容、伝わる範囲と具体的な被害の程度、本人の社会的地位や影響力、記事の目的や意義、掲載時の社会的状況とその後の変化、その事実を記載する必要性などを比べ、公表されない法的利益が優越することが明らかな場合に削除を求めることができるとした。ハードルは高く、資料の積み上げが欠かせない。
申請では URL を一件ずつ指定し、本人の名前で検索したときに上位に出るタイトルと抜粋を画面ごと記録しておく。申請後も同じ条件で再検索し、どの結果が消え、どの結果が残ったかを日付つきで残す。
Google 自身も、検索結果から外れてもページはそのまま残り、URL を直接入力したり SNS や他の検索エンジンから辿ったりすれば見られると案内している。検索結果の申請は、元記事の整理と組み合わせて初めて意味を持つ。
Google の「忘れられる権利」の手続は欧州のデータ保護法に基づくもので、削除は欧州各国向けの検索に適用される。日本の検索結果には、上記の国内の基準が当てはまる。
09ウェブ魚拓とアーカイブ
誰かが保存したスクリーンショットやアーカイブの写しは、ほかの層を片付けた後も残る。Internet Archive は info@archive.org で除外の依頼を受け付け、対象の URL、除外したい期間、該当すればサイトを管理していた期間を書くよう求めている。結果は事前に約束されない。画像として再投稿されたものは、転載と同じ方法で運営者に申し出る。
アーカイブの写しは、検索では見つけにくい。見出しの一部や記事の URL で保管サイトを直接調べ、画像検索でも記事の写真が再利用されていないかを確かめる。最後の確認を省くと、片付けたはずの記事が別の形で残る。依頼が通らなかった写しも記録に残し、その後の監視の対象に加える。
10作業の順番と当社の支援
最初の相談では、記事の一覧、掲載日、記事を知った日、処分や判決の有無を確認し、使える手段と残りの期限を先に整理する。期限のある手続が残っていれば、それを最優先にする。
- 日付を確定する。掲載日、記事を知った日、処分や判決の日。
- 全層を洗い出す。元記事、ポータル、転載、検索タイトル、画像、アーカイブ。
- 発行元に、問題を解決できる最も狭い依頼を出す。
- テレビ報道なら、放送から3か月以内に訂正放送を請求する。
- 元記事が動いたら、転載ごとに資料を付けて申し出る。
- 検索結果の更新・削除を申請し、名前と画像で再検索する。
サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は、層ごとの現況表の作成から、発行元・運営者・検索事業者への依頼、再掲載の監視までを一連で支援する。顔認識による検出で、本人の写真2〜3枚から記事の画像がどこに広がったかを確認し、映像や画像そのものは保管せずメタデータとハッシュ値だけを記録する。月平均52,142件以上の削除、914以上のプラットフォームに対応している。訴訟や法律判断は弁護士の領域であり、その段階では弁護士がそのまま使える記録を渡す。
進み具合は、確認できた事実だけを回ごとの報告書で伝える。整理が終わった後も、同じ名前や見出しで記事や転載が再び上がっていないかの監視を続ける。
よくある質問
新聞社は記事を削除しなければならないか
法律上の削除義務が一般にあるわけではなく、多くは発行元の判断による。事情の変化を示す資料を添え、匿名化など範囲を絞って依頼すると通りやすい。
Yahoo!ニュースに削除を頼めば消えるか
記事の内容への指摘は配信元のパートナーに直接問い合わせるよう案内されている。当事者が公式サイトなどで事実と異なると表明した場合、異議の併記や削除がされることがある。
テレビの報道はどこに申し立てるか
まず放送局に、放送のあった日から3か月以内に訂正放送を請求する。話し合いがつかなければ、1年以内に BPO の放送人権委員会へ申し立てられる。
新聞記事を BPO に申し立てられるか
できない。BPO の審理対象は放送された番組であり、新聞・雑誌・ネット記事は対象外である。
不起訴になったが記事が検索に出る
不起訴処分告知書などを添えて、発行元に追記や匿名化を求める。同じ書類は検索結果の削除申請でも、事情の変化を示す資料になる。
転載ブログは著作権で消せるか
記事の著作者は本人ではないため難しい。名誉毀損やプライバシー侵害を理由に運営者へ申し出るのが筋である。
元記事は消えたのに Google に出る
Google の古いコンテンツの削除で更新を申請する。ページが削除された場合の手続で、公開中のページの情報は消せない。
検索結果の削除はどんな基準で決まるか
最高裁は、公表されない法的利益が優越することが明らかな場合に削除を求められるとし、被害の程度や社会的状況の変化などを比べて判断する。
確認した出典
- 放送法(訂正放送等・放送番組の保存) - e-Gov 法令検索
- BPO の説明と組織図 - 放送倫理・番組向上機構
- 放送人権委員会 委員会説明 - 放送倫理・番組向上機構
- 放送人権委員会 運営規則 - 放送倫理・番組向上機構
- Yahoo!ニュース 運営方針 - LINEヤフー
- 権利侵害投稿の削除申出窓口 - LINEヤフー
- 情報流通プラットフォーム対処法 省令・ガイドラインの概要 - 総務省
- Google ニュースからコンテンツを削除する - Google
- ウェブサイトの所有者に連絡する - Google 検索ヘルプ
- 古いコンテンツの削除 - Google 検索ヘルプ
- 検索結果の削除を求めることができる場合(最高裁判所決定) - 裁判所
- 忘れられる権利についての概要 - Google 法律に関するヘルプ
- archive.org からの削除依頼 - Internet Archive
本稿は一般的な情報であり、法的助言ではない。結論は個々の事実関係や、発行元・放送事業者・検索事業者・裁判所の判断によって変わり、特定の結果を約束するものではない。各サービスの方針や手続は変わるため、記載は掲載日時点で確認した内容である。本文中のサービス名はそれぞれの権利者の商標であり、サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)はこれらと提携関係にない。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は法律事務を取り扱わないため、法的助言が必要な場合は弁護士に依頼すること。
CASE INTAKE
検索に出るその記事、まず全層を洗い出す
サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は、記事の掲載日と使える手段を最初に整理し、元記事からポータル、転載、検索結果まで層ごとに支援する。依頼は本人の書面による指示なしには出さない。相談内容は外部に出さない。
すべての相談は匿名で行われます。