削除業者はどこも同じではない――セキュリティ専門家が手がける削除が違う理由
流出動画や誹謗中傷の削除をうたう業者は多いが、中身はまったく違う。URLを一件ずつ手で通報フォームに貼る業者もあれば、拡散先をプログラムで洗い出し、各サイトが受け付ける根拠で通報を作り、再アップロードまで監視する業者もある。その差がどこで生まれ、相談の段階でどう見分けるかを整理する。
ABSTRACT
削除支援の水準は人数や広告量ではなく仕組みで決まる。拡散する側の手口を攻撃者の目線で読み、サイトが無視すればホスティング事業者やCDNへ上がり、正確な通報をプログラムの速度で出し、ハッシュで再投稿を追う業者は、手作業の業者より速く、漏れが少ない。代表が持つ五つの国際セキュリティ資格は、その土台となる実務経験と実技力を外部機関が確かめたものであり、結果を保証するものではない。
本稿は2026年11月7日に、ISC2、ISACA、EC-Council、OffSec、GIAC の公式な資格要件と試験案内、e-Gov 法令検索、総務省、Cloudflare、5ちゃんねる、X ヘルプセンター、Google 検索ヘルプ、StopNCII.org の記載を確認して作成した。依頼者を特定できる情報は含まない。
目次
01同じ「削除代行」でも中身は別物
相談で最も多い質問は「削除業者はどこも同じでは」というものだ。答えは違う。削除代行という言葉は結果を指すだけで、やり方は何も示さない。最初の電話ではどの業者も丁寧で、どの業者も「できます」と言う。
差が出るのは数週間後である。消えたはずの動画が別のURLで戻っている。名前で検索すると同じ結果が出る。通報したとは言われるが、どのURLが消えたかを確かめる方法がない。手作業で進め、最初の経路で止まる業者に典型的な症状だ。
| 項目 | 手作業型 | ツール併用型 | セキュリティ設計型 |
|---|---|---|---|
| 探し方 | 名前・ハンドル検索 | 検索と一部の監視 | クロール・顔認識・ハッシュ照合 |
| 通報 | URLごとに手入力 | 定型文の流用 | サイト別に自動作成 |
| 無視されたら | 同じ通報を繰り返す | 問い合わせ窓口へ | ホスト・CDN・登録事業者へ |
| 結果報告 | 「対応中」 | 件数だけ | URLごとの削除確認 |
| 再投稿 | 依頼者が見つけて連絡 | 時々再検索 | 同じファイルを毎回照合 |
表の右へ進むほど人の仕事が減るわけではない。人の仕事が変わるのである。繰り返しはプログラムに任せ、人は判断が要るところ、つまり写っているのが本当に本人か、どの根拠なら通るかを決めることに時間を使う。同じ費用を払っても結果が違ってくるのは、この配分の差による。
02拡散する側はどう隠れるか
流出動画や組織的な中傷を広げる側は、多くの被害者が思うより周到である。同じファイルを複数のミラーサイトに同時に上げ、本当のサーバーが見えないようCDNの後ろに置き、通報が来ればドメインだけ替えて再開する。題名を変え、名前を消し、画面の一部を切り取って検索に掛からないようにもする。
名前検索で見つかる量が少ないのはこのためだ。名前が残った複製しか拾えず、最も害の大きい複製はたいてい手がかりを消されている。それを見つけるのは文字ではなく顔とファイルの照合である。
これに勝つには相手の組み方を知る必要がある。攻撃者の侵入経路と痕跡の消し方を見て防ぐのが、セキュリティの仕事だ。サラジムカンパニーの代表は Palo Alto Networks 出身で、その経験を逆向きに使い、サイトの置き場所、前にあるCDN、ドメインの管理者を読んでから送り先を決める。
03運営者が無視したときの次の扉
手作業の業者は、海外サイトが返事をしなければそこで止まり「海外なので難しい」と言う。だがサイトの背後には別の扉がある。たとえば Cloudflare は、自社のセキュリティ・CDNサービスを通過するコンテンツはホストしておらず、ホストしていないものは削除できないと明記している。そのうえで、苦情をサイト運営者とホスティング事業者に転送し、ホスティング事業者には問題のコンテンツのオリジンIPアドレスを伝える。
- サイト運営者:投稿を消せるが、無視されることが多い。
- CDN:苦情を運営者とホスティング事業者に転送し、ホスト側にサーバーの所在を伝える。
- ホスティング事業者:自社の利用規約に基づいて対応する。
- ドメインの登録事業者:ドメインを使った不正利用の報告を受け付ける。
- 検索エンジン:ページが残っていても、検索結果から外せる場合がある。
どの段階も削除が約束されるわけではなく、段階ごとに必要な証拠も違う。それでも、運営者の沈黙は作業の終わりではなく始まりである。どこに動く能力と理由があるかを技術的に見分けられるかどうかで、結果が分かれる。
この構造を読むのは技術の仕事である。ドメインがどこを指しているかを調べ、CDNと実際のサーバーを切り分け、登録事業者を特定し、どこに対応する力と規約上の理由があるかを選ぶ。手作業の業者は最初の段階を越えることが少なく、返事のない一通のメールが最終回答になってしまう。
04五つの資格が証明するもの
代表は五つの国際セキュリティ資格を持つ。お金を払えばもらえる修了証ではない。いずれも外部機関が実務経験の確認か、監督者付きの試験で判定する。
| 資格 | 発行機関 | 取得の条件 |
|---|---|---|
| CISSP | ISC2 | 8分野のうち2分野以上で通算5年以上のフルタイム実務経験と、資格保持者による推薦 |
| CISM | ISACA | 4分野のうち3分野以上で5年以上の情報セキュリティ管理経験(申請前10年以内) |
| CEH | EC-Council | 125問・4時間の知識試験 |
| OSCP | OffSec | 監督者付きの23時間45分の実技試験と、その後24時間以内の報告書提出 |
| GIAC GASAE | GIAC | 実務的なセキュリティ能力を検証する監督者付き試験 |
ISC2 は、申請者の経験を別の資格保持者が推薦して裏付けることを求めている。ISACA は申請日前10年以内に積んだ経験しか数えない。どちらも、試験の点数だけでは名乗れない仕組みである。
簡単に言えば、CISSP と CISM は試験に受かるだけでは取れず、経験の裏付けが要る。CEH は攻撃手法の知識を、OSCP は実際に脆弱なマシンへ侵入する実技を問う。OSCP は丸一日近く監督下で攻撃し、その過程を報告書にまとめる。GIAC はすべての試験が監督付きであると明記している。
資格そのものが動画を消すわけではない。ただ、管理系の資格は依頼者の情報をどう扱うべきかを知っていること、攻撃系の資格は拡散側が隠れる構造を読めることを意味する。その上に自作の通報システムが乗ったとき、水準の差になる。
業者が資格を掲げたら発行機関の名前と保持者の情報を聞き、その機関で確かめる。業者自身が作った協会の認定は、実力の根拠にならない。
05依頼者の情報を守るのも実力
削除を頼むとき、依頼者は最も隠したい情報を渡す。顔写真、動画のURL、名前と連絡先、ときには経緯まで。それをどこに保管し、いつ消すかを説明する業者は多くない。動画の原本を送れと言う業者もある。
サラジムカンパニーは動画を受け取らない。写真2〜3枚で顔認識検索を行い、撮影物は保管せず、照合に必要なメタデータとハッシュ値だけを記録する。作業が終われば個人情報は定めた期間の後に完全に破棄する。消しに行った先で新たな流出を生まないためだ。
同じ考え方は StopNCII.org にもある。ハッシュは本人の端末で作られ、共有されるのはハッシュだけで、画像は手元に残る。まともな業者なら、自社の扱いを同じくらいはっきり説明できるはずだ。
預ける前に聞くこと
- 動画の原本が必要か、写真だけでよいか
- 写真や資料をどこに、どれだけの期間保管するか
- 作業が終わったら、いつ、どう消すか
- 社内の誰が相談内容を見られるか
06手作業の削除は一件ずつ
手作業の通報はこう進む。検索でURLを探し、サイトを開いて通報ボタンを探し、フォームに記入し、スクリーンショットを撮って添付し、送信して次のURLへ移る。一件に数分かかり、フォームはサイトごとに違うので慣れても大きくは速くならない。当社の現場感覚では、1,000件は一人が一週間ほど張り付く量である。
フォームも大量処理向けではない。X の私的な画像の通報は、一度に5件までの投稿を報告する仕組みだ。5ちゃんねるの一般の削除要請はスレッドで公開されるため、書き方を誤ると申出そのものが二次拡散になる。その間にも動画は広がり、最初の1,000件を出し終える頃には新しいURLが数百件たまっている。
差が最も開くのは急ぐときである。流出直後は人が動画を持ち出す速度が最も速く、最初の数日で元の投稿と初期の複製を消せるかどうかで、その後の広がりが変わる。中傷が一度に押し寄せたときも同じで、一週間かけて1,000件を消す間に新しい投稿が積もれば、消す速度が広がる速度に追いつかない。
手作業の業者は結果の報告にも弱い。通報を手で出すなら、確認も手で行うことになり、真っ先に省かれる。依頼者は「通報しました」とは聞くが、どのURLの削除を確かめたか、どれが却下されなぜか、どれがまだ残っているかを示す一覧は出てこない。
071時間に800〜1,000件以上を通報する仕組み
サラジムカンパニーは、代表が自ら開発した自動通報システムを使う。悪質な投稿なら1時間に800〜1,000件以上を通報でき、手作業なら一週間かかる量を1時間前後で出せる。流れは六段階である。
- 探す:検索、サイトのクロール、写真2〜3枚の顔認識を併用して拡散先を集める。
- 選り分ける:本人でないものを除き、同じファイルはハッシュでまとめる。本人確認は人が行う。
- 分ける:サイト別、そして著作権・プライバシー・性的画像・中傷のどの根拠が通るかで分ける。
- 作る:各サイトの書式で通報を作り、URL・確認時刻・ハッシュを添える。
- 出して追う:各サイトの手続で提出し、受付番号と回答を記録する。
- 確かめて見張る:URLを開き直して削除を確認し、同じファイルの再出現を追う。
二つの段階はあえて人に残している。本人確認と根拠の選択は判断であり、どちらかを誤れば通報が無駄になるか、もっと悪い結果になる。項目の入力やURLの開き直しのような純粋な繰り返しはシステムが受け持つ。量を増やしても正確さが落ちないのはこのためだ。
1時間で1,000件というのは通報の速度である。実際に消える時期は各サイトの審査次第だ。ただし、遅く出した通報はそれだけ遅く消える。
情報流通プラットフォーム対処法で指定された大規模プラットフォーム(YouTube、X、Instagram、TikTok、Yahoo!知恵袋、爆サイ.com など)は、削除の申出を受けた日から14日以内で総務省令が定める期間内に、対応したかどうかを申出者に通知しなければならない。この期間も、正しい申出が届いてから始まる。
08速いだけでは消えない
自動化と聞くと、同じ通報をばらまく様子を想像する人がいる。それでは失敗する。根拠の合わない通報は却下され、他人の正当な投稿を通報すれば適法な表現を消そうとしたことになる。だから仕組みは正確に出すために作ってある。
| よくある失敗 | なぜ問題か | 当社の処理 |
|---|---|---|
| 根拠なしに同じ通報を繰り返す | 却下が積み重なる | サイト別に通る根拠を選ぶ |
| 本人でない投稿まで通報 | 正当な投稿を狙うことになる | 本人確認は人が最終判断 |
| 通報して確認しない | 何が消えたか誰も分からない | URLを開き直して確認 |
| 却下理由を無視 | 同じ理由でまた却下 | 理由を記録し次に反映 |
本人確認は人が行い、根拠はサイトごとに選び、各サイトが定めた手続の中で出す。この繰り返しが、当社が公表する削除率98.2%、914以上のプラットフォーム対応、月平均52,142件以上の削除の土台になっている。
却下は失敗ではなく情報である。なぜ通らなかったかを記録し、次の通報の書き方や根拠の選び方に戻す。手作業ではこの記録が残らないため、同じ理由での却下が何度も繰り返される。
09再投稿はプログラムが見張る
消して終わりではない。広がった動画は誰かの端末や別のサーバーに残り、数週間後に別のURLで戻ってくる。手作業の業者では、依頼者が見つけて連絡するまで気づけない。サラジムカンパニーは最初のハッシュ値と顔認識の基準を残し、同じファイルや同じ顔が新たに現れないかを毎回探す。
サイト側の照合にも限界がある。Google は性的な画像の削除リクエストについて、Google 検索から重複を見つけて削除するよう努めるとしている。StopNCII.org は端末上でハッシュを作り、画像そのものは端末から出さないが、照合できるのは参加企業のサービスに限られる。その外へ移った複製は、独自の検索でしか追えない。
人が毎日検索し続けることはできないが、プログラムは休まない。一つのサービスで止められた複製は照合の仕組みがないサイトへ移るため、同じハッシュと同じ顔で追う独自の検索が欠かせない。各回で見つかったものは、同じ通報の流れに戻して処理する。
10弁護士法の線引きと、聞くべき五つの質問
日本では、弁護士でない者が報酬を得る目的で、他人の法律事件について代理や交渉などの法律事務を扱うことを仕事にするのは、弁護士法で禁じられている。いわゆる非弁行為である。削除代行業者が依頼者の代理人として、名誉毀損やプライバシー侵害を理由に削除を求めて交渉すれば、この問題に触れうる。
だから、業者に頼む前に「誰の名義で、何を根拠に申し出るのか」を聞く。サラジムカンパニーは法律事務を取り扱わない。扱うのは、拡散先の調査と記録、各サイトの利用規約に基づく通報、本人名義での申出に必要な資料の準備であり、法的な請求や裁判手続は弁護士の領域として分けている。
広告の文句では差は見えない。次の五つを直接聞けば、最初の相談でほぼ分かる。
- 誰が作業するのか。経歴は本物か、発行機関で確かめられる資格はあるか。
- どう探すのか。名前検索以外の方法はあるか。
- 結果をどう報告するのか。URLごとに削除を確かめた報告書は出るか。
- 再投稿されたらどうするのか。自分で探すのか、業者が見張るのか。
- 誰の名義で申し出るのか。写真や資料はいつ消すのか。
「全部消せます」「100%削除」とだけ繰り返し、方法を説明できない業者には注意したほうがよい。削除を最終的に決めるのはサイト側であり、誠実な業者は何ができて何が難しいかを先に話す。
よくある質問
1時間に1,000件通報すれば1時間で消えますか
消えない。それは通報の速度で、削除の時期は各サイトの審査で決まる。却下や追加資料の要求もある。
大量の自動通報はかえって不利になりませんか
不正確な通報なら不利になる。だから本人確認は人が行い、根拠はサイトごとに選び、各サイトの手続で出す。
動画の原本を送る必要はありますか
ない。顔写真2〜3枚で顔認識検索ができる。撮影物は保管せず、メタデータとハッシュ値だけを記録する。
CISSP や OSCP は削除と関係がありますか
直接はない。機密情報の扱いと、攻撃者が隠れる構造を読む力を外部機関が確かめたもので、削除の仕組みの土台になる。
GASAE はどんな資格ですか
実務的なセキュリティ能力を検証する、監督者付きの GIAC 資格である。GIAC はすべての試験を監督付きで行うとしている。
削除代行に頼んで問題はありませんか
業者が報酬を得て、他人の法律事件の代理や交渉を仕事にすれば非弁行為の問題になる。誰の名義で、何を根拠に申し出るのかを先に確認する。
サイトが通報を無視します。もう無理ですか
多くの場合、終わりではない。CDN やホスティング事業者に別の窓口があり、検索結果はページが残っていても消せる場合がある。
一度消えれば戻ってきませんか
監視しなければ戻る。複製は別のURLで再出現するため、ハッシュと顔認識で毎回照合し直す。
確認した出典
- CISSP Experience Requirements - ISC2
- Certification Endorsement and Application Process - ISC2
- Get CISM Certified - ISACA
- Certified Ethical Hacker (CEH) - EC-Council
- OSCP+ Exam Guide - OffSec
- GIAC GASAE certification - GIAC
- 弁護士法 - e-Gov 法令検索
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 - e-Gov 法令検索
- 情報流通プラットフォーム対処法 - 総務省
- Our approach to abuse(濫用への対応方針) - Cloudflare
- 削除要請(入口) - 5ちゃんねる
- 合意のない裸体の描写に関するポリシー - X ヘルプセンター
- Google から合意のない露骨な画像を削除する - Google 検索ヘルプ
- StopNCII.org(日本語)
本稿は一般的な情報であり、法的助言ではない。結果は個々の事実関係やプラットフォームの判断によって変わり、特定の結果を約束するものではない。各サービスの方針、資格要件、通報の仕組みは変わるため、記載は掲載日時点で確認した内容である。本文中の Google、YouTube、X、Cloudflare、5ちゃんねる、StopNCII、各資格の名称などはそれぞれの権利者の商標であり、サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)はこれらと提携関係にない。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は法律事務を取り扱わないため、法的な請求や裁判手続が必要な場合は弁護士に依頼すること。
CASE INTAKE
動画ではなく、写真を2〜3枚送ってほしい
サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)が、画像や投稿が残っている場所と、それぞれに届く経路、現実に何ができるかを通報の前に整理する。相談内容は外部に出さず、撮影物は保管せず、書面での指示なしに通報することはない。
すべての相談は匿名で行われます。