Telegram に流出した画像・動画を削除させる手順
Telegram の対応は、公開部分と非公開部分で完全に分かれている。公開されているチャンネル、グループ、ボット、ステッカーセットには報告と削除の仕組みがあるが、非公開のグループとチャットについては関連する要請を一切処理しないと明記されている。ここでは公開部分への申し立て、宛先の使い分け、そして非公開部分に対して何ができるかを整理する。
ABSTRACT
できることは三つに絞られる。アプリ内のReport ボタンで違法コンテンツを報告する、abuse@telegram.org に自動化された削除要請を送る、著作権であれば dmca@telegram.org に申し立てる。いずれも対象は公開されているコンテンツである。非公開のグループとチャットは参加者間で私的なものとして扱われ、要請の対象にならない。したがって拡散先の公開サイトと検索結果を同時に押さえることが、実務上の中心になる。
本文の宛先・対象範囲・方針は、Telegram の FAQ、警察庁、e-Gov 法令検索、総務省が公表する削除申出窓口の一覧、Google の公式ヘルプおよび StopNCII.org の記載を、掲載日時点で確認したものである。
目次
01公開部分と非公開部分
Telegram は、処理する要請の範囲を公開している。これを先に理解しないと、届かない宛先に出し続けることになる。
| 対象 | 扱い |
|---|---|
| 公開されているチャンネル・グループ | 違法な公開コンテンツの削除要請を処理する |
| ボット・ステッカーセット | 知的財産権を侵害するステッカーセットやポルノボットは削除対象として挙げられている |
| 非公開のグループとチャット | 参加者間で私的なものであり、関連する要請を一切処理しない |
| シークレットチャット | 端末間の暗号化により、開示できるデータを持たないと説明されている |
Telegram は、アプリを App Store と Google Play で配信し続けるためにも、アプリ内の違法な公開コンテンツの削除要請を処理する必要があると説明している。同時に、ある国で政府批判が違法であるような言論の自由に対する地域的な制限には関与しないとも述べている。
チャンネルに参加して内部を調べない。参加の記録が残り、相手に関心が伝わる。確認のために保存したファイルを誰かに送らない。18歳未満が写る記録は、確認のために手元に置くこと自体が別の問題になる。
02対象の記録
Telegram に出す要請では、コンテンツへのリンクが必須である。t.me で始まる形式、またはアットマークで始まるユーザー名の形式で示す必要がある。
要請一件につき残すもの
- t.me 形式のリンク、またはアットマークで始まるチャンネル名・ボット名。
- 該当メッセージの投稿日時。表に書くときは「2026.10.26 03:56」の形に揃える。
- アドレスバーや画面上端から下端までを含む、切り取らない全画面のスクリーンショット。
- チャンネルの表示名、説明文、参加者数。
- 動画なら、侵害箇所の時刻を「0:00-1:13(動画全体)」の形で始まりから終わりまで書く。
- そのチャンネルが外部サイトへ誘導している場合は、誘導先の URL も。
- 本人であることを示す資料。求められたときに出せるよう用意しておく。
誘導先の URL を押さえておく理由は二つある。第一に、ファイル本体が外部の配信サイトに置かれていることが多い。第二に、その配信サイトのほうが削除の経路が整っていることがある。Telegram は入口であって、保管場所ではない場合が多い。
03アプリ内の報告
すべての Telegram アプリに Report ボタンがあり、違法コンテンツをモデレーターに報告できる。操作は端末ごとに違う。
- Android。メッセージをタップし、メニューから Report を選択する。
- iOS。メッセージを長押しする。
- デスクトップ・Web・macOS。メッセージを右クリックして Report を選択する。
- 表示される理由の一覧から、適切なものを選ぶ。
- 対象が複数のメッセージにわたる場合は、一件ずつ報告する。
アプリ内の報告には期限も理由の返答もない。メールでの要請と併せて出す。両方出すこと自体は妨げられていない。
04abuse宛ての要請
Telegram は、自動化された削除要請用のメールアドレスとして abuse@telegram.org を公開している。メールで要請を送る場合は、モデレーターの対応が必要と考えるコンテンツへのリンク(t.me で始まるもの、またはアットマークで始まるもの)を必ず含めるよう求められている。
- 対象を一件ずつ挙げる。チャンネル全体を指す場合は、代表的なメッセージのリンクも添える。
- 何が侵害されているかを明示する。同意のない性的な画像、個人情報の掲載、著作権侵害のうち該当するものを書く。
- 英語で出す。日本語のみの要請は処理されないことがある。
- 送信の記録を残す。送信日時と宛先が後の前提資料になる。
- 自分のボット、チャンネル、ステッカーセットが不当に凍結されたと考える場合も、同じ abuse@telegram.org が案内されている。
Telegram は、違法な公開コンテンツの報告を受けたときは必要な法的確認を行い、適切と判断した場合に削除すると説明している。テロ関連のボットやチャンネルはブロックする一方、平和的に異なる意見を述べる者はブロックしないとしている。
05著作権はdmca宛て
自分で撮影した、または自分が権利を持つ作品が無断で使われている場合は、別の宛先になる。Telegram は、公開プラットフォームの一部であるボット、チャンネル、ステッカーセットその他のコンテンツが著作権を侵害している場合、dmca@telegram.org に申し立てるよう案内している。
- 申し立ては著作権者、または権利者に代わって行動する権限のある代理人のみが提出すべきものとされている。
- 非公開のグループとチャットは対象外である。参加者間で私的なものであり、関連する要請を一切処理しないとされている。
- 日本法では、著作権法第112条第1項が、権利を侵害する者または侵害するおそれがある者に対する侵害の停止または予防の請求を定める。
- 損害については第114条第3項により、権利の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を請求できる。
- 刑事では第119条第1項が、著作権等を侵害した者を10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科とする。
権利の所在で判断できるため、合成かどうかや本人と特定できるかという争点を回避できる。自分で撮影した素材であれば、abuse 宛ての一般的な要請より dmca 宛ての申し立てのほうが処理の筋道が明確である。
06なりすましと専用の窓口
Telegram は、類型ごとに専用のボットやアドレスを案内している。該当する類型があれば、そちらから出す。
| 類型 | 宛先 |
|---|---|
| 違法な公開コンテンツ | アプリ内の Report、または abuse@telegram.org |
| 著作権侵害 | dmca@telegram.org |
| 自分を装った詐欺師 | アットマーク付きの NoToScam |
| 合意のない親密な画像・動画(TAKE IT DOWN Act にもとづく要請) | アットマーク付きの TIDABot |
| ボット・チャンネル・ステッカーセットの不当な凍結 | abuse@telegram.org |
TAKE IT DOWN Act にもとづく要請について、Telegram は、Telegram 上で自分に関する合意のない親密な画像または動画だと考えるコンテンツを見つけた場合、本人または代理人が専用のボットから報告できると案内している。米国の法律にもとづく仕組みであるが、窓口として用意されている。
07日本法での位置づけ
期限の面では期待できない。総務省が公表する情報流通プラットフォーム対処法の削除申出窓口の一覧に、Telegram の提供者は含まれていない。第20条第1項で指定された事業者ではないため、第25条の7日の回答期限は及ばない。
- 指定されていない相手への請求は、任意の申し立てにとどまる。
- 窓口が用意されている以上、協議会の書式よりも公開されている宛先に出すほうが実務的である。
- 任意で動かない場合は裁判手続になるが、相手方の所在と管轄の検討が必要になる。
- 情プラ法第9条第1項第3号は、日本において事業を行う者を相手方とする場合、申立てが日本における業務に関するものであるときは管轄権があると定める。ただし同条第6項の特別の事情による却下がある。
08刑事の筋
削除と並行して、刑事として扱うかを判断する。日本の条文で問えるのは次の類型である。
| 条文 | 行為 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 性的姿態撮影等処罰法 第3条第2項 | 性的影像記録を不特定もしくは多数に提供し、または公然と陳列する | 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科 |
| 同 第5条 | 不特定または多数に対し対象性的姿態等の影像を送信する | 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科 |
| リベンジポルノ防止法 第3条第1項 | 撮影対象者を特定できる方法で、電気通信回線を通じて不特定もしくは多数に提供する | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
警察庁は、サイバー事案に関する通報・相談・情報提供について全国統一のオンライン受付窓口を設置している。住んでいる都道府県の警察本部または管轄警察署を選択し、内容はその警察に通知される。被害届を行う場合は最寄りの警察署等に連絡するよう案内されている。都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口の連絡先も公開されている。
刑事として扱う可能性があるなら、相談の前に証拠の保全を終えておく。チャンネルが削除されると対象の特定ができなくなる。削除の要請と刑事の筋は逆方向に働くことがあるため、どちらを先に出すかを決めてから動く。なお、リベンジポルノ防止法第3条第1項から第3項までの罪は告訴がなければ公訴を提起できない(同条第4項)。
09拡散先を同時に押さえる
Telegram のチャンネルは、たいてい外部の配信サイトか別の SNS と組み合わせて運用されている。Telegram だけを止めても、配信先が残っていれば意味がない。
- チャンネル内のリンクから、ファイル本体が置かれている配信サイトを特定する。
- 配信サイトのドメイン登録情報を照会し、ホスティング事業者と前面のプロキシを特定する。
- Cloudflare のようなプロキシが入っている場合、申し立ては運営者とホスティング事業者に転送され、オリジンの IP アドレスが提供されると説明されている。
- ホスティング事業者の濫用窓口に申し立てる。
- StopNCII.orgにハッシュを登録する。参加サービスには Pornhub、xVideos、X、Reddit、Microsoft などが含まれる。
- 検索結果からの削除を別に申請する。
Google は個人的な性的コンテンツの削除について、同意のないもの、本人と特定できる偽造されたもの、名前やハンドルが無関係なポルノサイトや広告に結び付けられた結果を対象区分としている。審査対象は提出した URL のみで、提出していないページは見られない。
10再開設への対応
- チャンネルが削除されても、同じ運営者が別名で開設することが多い。チャンネルの説明文の定型句を監視語にする。
- 記録しておいた題名とタグも監視語に加える。再投稿は題名を変えて戻ってくる。
- 過去に削除されたチャンネル名を残す。新しいチャンネルが過去のチャンネルへ言及していることがある。
- ハッシュは登録したままにする。見つけていない複製に働く仕組みはこれだけである。
- 新しい要請には、過去の要請の送信日時と宛先を添える。同一案件として扱われやすくなる。
サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)が担うのは、対象の記録、アプリ内の報告と各宛先への要請の下書き、配信先の特定とホスティング事業者への申し立て、検索結果からの削除申請、再開設の監視という事務の部分である。法律事務は取り扱わず、訴訟代理人にはならない。
よくある質問
非公開のグループの中身は消せますか
Telegram は、非公開のグループとチャットは参加者間で私的なものであり、関連する要請を一切処理しないと明記している。対象になるのは公開されているコンテンツである。
どこに要請を送りますか
違法な公開コンテンツは abuse@telegram.org、著作権侵害は dmca@telegram.org である。いずれも t.me 形式またはアットマークで始まるリンクを含める必要がある。
アプリ内の報告だけで足りますか
足りないことが多い。報告には期限も理由の返答もない。メールでの要請と併せて出す。
著作権と一般の要請はどちらが有利ですか
自分で撮影した素材なら著作権である。権利の所在で判断できるため、合成かどうかや本人と特定できるかという争点を回避できる。
なりすまし被害の窓口はありますか
詐欺師が自分を装っている場合、Telegram はアットマーク付きの NoToScam への連絡を案内している。
情プラ法の7日の期限は及びますか
及ばない。総務省が公表する削除申出窓口の一覧に Telegram の提供者は含まれておらず、指定事業者ではない。
チャンネルが消えても安心できませんか
同じ運営者が別名で開設することが多い。説明文の定型句と題名を監視語にして継続して確認する。
刑事で動かせますか
性的姿態撮影等処罰法第3条第2項や第5条、リベンジポルノ防止法第3条第1項が関係する。警察庁の全国統一のオンライン受付窓口から通報・相談できる。
確認した出典
- FAQ(違法コンテンツの削除・著作権侵害・第三者からの要請の扱い) - Telegram
- サイバー事案に関する相談窓口 - 警察庁
- 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律 - e-Gov 法令検索
- 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 - e-Gov 法令検索
- 著作権法(第112条・第114条・第119条) - e-Gov 法令検索
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(第9条・第20条・第25条) - e-Gov 法令検索
- 情プラ法第21条に基づき届け出られた削除申出窓口及び削除基準(一覧) - 総務省
- 濫用への対応方針 - Cloudflare
- 濫用報告フォーム - Cloudflare
- 個人的な性的コンテンツの削除 - Google 検索ヘルプ
- StopNCII.org - SWGfL / Revenge Porn Helpline
- 参加企業一覧 - StopNCII.org
本稿は一般的な情報であり、法的助言ではない。結論は個々の事実関係、相手方や裁判所の判断によって変わり、特定の結果を約束するものではない。プラットフォームの方針や法令上の義務は変わるため、記載は掲載日時点で確認した内容である。本文中のサービス名はそれぞれの権利者の商標であり、サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)はこれらと提携関係にない。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は法律事務を取り扱わないため、法的助言が必要な場合は弁護士に依頼すること。
CASE INTAKE
Telegram は入口であって、保管場所ではない
サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は、対象の記録、アプリ内の報告と各宛先への要請の下書き、配信先の特定とホスティング事業者への申し立て、検索結果からの削除申請、再開設の監視まで一連で扱う。相談内容は外部に出さない。
すべての相談は匿名で行われます。