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PUBLIC RECORD国外が絡む通報2026-11-04 更新· 約12分 閲覧· 作成・監修 サラジムカンパニー対応チーム

海外サーバーの性的ディープフェイクを刑事で通報する

性的なディープフェイクは、被害者が日本にいても、投稿者やサーバーが海外にあることが多い。誰がどの国にいるかで、日本の刑法が届くか、証拠をどの国から取るか、削除をどこに求めるかが変わる。ここでは国をまたぐ場合の通報の組み立てを、日本と主なサーバー所在国に分けて整理する。

ABSTRACT

日本の警察への届出は、相手が海外でも出発点になる。日本の刑法は名誉毀損について日本国民が国外で行った場合にも適用されるが、外国人が国外で行った場合の規定には名誉毀損が入っていない。海外のサーバーにある記録は、刑事共助条約などを通じて国の間で取り寄せることになり、時間がかかる。その間の削除は、米国の48時間ルール、EUのデジタルサービス法の申出と異議、豪州の削除通知、ドメイン登録事業者の濫用窓口を使って別に進める。

本文の内容は、e-Gov 法令検索の刑法・私事性的画像記録法・性的姿態撮影等処罰法の原文、警察庁、総務省、米国政府出版局の法律原文、米国連邦取引委員会、FBIのインターネット犯罪苦情センター、欧州委員会、EUR-Lex、豪州 eSafety コミッショナー、ICANN の公表資料を、2026年11月4日に確認したものである。

01誰がどの国にいるかで道が分かれる

国外が絡む案件は、三つの所在地を最初に書き出すところから始まる。被害者、投稿者、そして記録が置かれているサーバーである。三つが同じ国にそろうことは少なく、それぞれが別のことを決める。

所在地決まること実務上の意味
被害者の住所届出を受ける警察日本在住なら日本の警察が窓口
投稿者の国籍と所在日本の刑法が届くか日本国民か外国人かで適用範囲が違う
サーバーと運営会社の国記録の取り寄せ方と削除の根拠その国の制度と、運営会社の窓口に従う

所在地は推測で埋めない。運営会社は利用規約や会社情報の欄、ドメインは登録情報の検索、サーバーはホスティング事業者の表示から確認し、どこで確認したかを一緒に記録する。三つのうち一つでも日本に結び付けば、使える窓口が一つ増える。結び付かない場合でも、書き出した表はそのまま警察や各国の窓口への説明資料になる。

サーバーが海外でも、運営会社が日本の法律で指定を受けた大規模事業者なら、日本の削除申出窓口が使える。総務省の一覧には、YouTube の Google LLC、Facebook・Instagram・Threads の Meta Platforms、X の X Corp.、TikTok の TikTok Pte. Ltd. などが載っている。窓口の使い方はディープフェイクの通報先にまとめている。

注意

写っている人物が18歳未満である、またはそう見えるように作られている場合は、保存も転送もせず、警察とプラットフォームにだけ知らせる。

02日本の刑法が届く範囲

日本の刑法は、日本国内で罪を犯したすべての者に適用される。そのうえで、国外で行われた行為については、どの罪が対象になるかを列挙している。性的なディープフェイクで中心になる名誉毀損は、ここで扱いが分かれる。

合成画像が示している内容が事実でないことは、名誉毀損の妨げにならない。刑法は、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した者を、その事実の有無にかかわらず3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処すると定めている。

  • 日本国民が国外で行った場合に適用される罪の一覧には、名誉毀損が含まれている。投稿者が海外に住む日本人であれば、名誉毀損で問う道は条文上ある。
  • 同じ一覧に、侮辱と、わいせつな記録の頒布は入っていない。
  • 外国人が国外で日本国民に対して行った場合に適用される罪は、不同意わいせつ、殺人、傷害、逮捕監禁、略取誘拐、強盗などに限られ、名誉毀損は入っていない。
  • 名誉毀損は、告訴がなければ起訴できない。届出だけでなく告訴の意思を示す必要がある。

外国人が国外から投稿し、日本で閲覧できる状態になっている場合に、それを国内での犯罪として扱えるかは、条文が直接は答えていない。捜査機関と裁判所の判断になるため、届出の段階で結論を決めつけず、日本で閲覧・拡散された事実を記録に残しておく。

実務上は、投稿者が日本人である可能性を示す材料を早めに集めておく。日本語での書き込み、日本の掲示板やSNSでの活動、日本の地名や勤務先への言及などである。投稿者の国籍は最初から分かることが少ないが、適用される条文の範囲を左右するため、届出の時点で手がかりとして渡せるかどうかで、警察の受け止め方が変わる。

03素材が実際に撮影された画像なら

顔を合成した画像の元になった写真が、盗撮や流出した私的な画像である場合は、別の法律が加わる。どちらの法律も、日本国民が国外で行った場合に適用される。

  • 私事性的画像記録法は、対象を人の性的な姿態が撮影された画像と定義している。撮影された画像を、本人を特定できる方法で不特定または多数に提供すると、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金になる。告訴がなければ起訴できない。
  • 性的姿態撮影等処罰法も、撮影する行為と、それによって作られた記録の提供を対象にしている。
  • 生成だけで作られた画像は、撮影された画像という定義の外になりうる。合成の元になった写真がどこから来たかを調べることが、使える法律を広げる。

元写真の出所を調べるときは、本人のSNSに公開していた写真か、非公開で誰かに送った写真か、本人が撮影を知らなかった写真かを分けて書く。公開写真から作られた合成なら名誉毀損が中心になり、非公開の写真や盗撮が素材なら撮影された画像に関する法律の対象になりうる。どちらに当たるかで、告訴の組み立ても警察への説明も変わる。

04日本の警察に出す資料

警察庁は、サイバー事案の通報・相談・情報提供を受け付ける全国統一のオンライン窓口を置いている。送信時に住んでいる都道府県の警察本部か管轄の警察署を選び、内容はそこへ通知される。国外が絡む案件では、資料に次の項目を足しておく。

国外案件で追加する記録

  • 投稿ごとの URL と、日本時間で記録した確認日時。
  • サイトの運営会社名と、利用規約に書かれた所在国。
  • ドメインの登録事業者とホスティング事業者の名称。
  • 投稿者のアカウント名、使用言語、本人が書いた居住地などの手がかり。
  • 日本で閲覧・拡散された事実。国内の掲示板への転載や、日本語のコメント。
  • すでに出したプラットフォームへの報告と、その受付番号。

人命に関わる事案は最寄りの警察署へ、緊急のものは110番に通報する。そうでない限り、窓口から相談として出し、告訴まで進めるかどうかを担当者と詰める。

海外のサイトは表示時刻が協定世界時や現地時間になっていることが多い。画面に出ている時刻と、自分が確認した日本時間を別々に書き、どちらがどちらかを明記する。外国語の投稿文やコメントは、原文を残したうえで訳を添える。訳は要旨でよいが、本人を特定する部分と脅しや侮辱に当たる部分は省かずに訳す。

05海外の記録は国の間で取り寄せる

海外のサーバーにある登録情報やアクセス記録を、日本の警察が直接取りに行くことはできない。そのための仕組みが刑事共助条約である。

警察庁によると、日本はこれまでに米国、EU、中国、香港、ロシア、ベトナムなどとの間で刑事共助条約・協定を結んでいる。条約は捜査共助の実施を条約上の義務とし、外交当局を経ずに、条約が定める中央当局どうしが直接やり取りすることで手続を速めている。

それでも、国の間の手続には時間がかかる。その間に記録は拡散し、運営会社がログを消すこともある。だから刑事の手続と削除の手続は、最初から並行して走らせる。

届出の段階で、どの国のどの会社が記録を持っているかを特定して渡せば、取り寄せの対象を絞りやすくなる。逆に、所在国が分からないまま「海外のサイト」とだけ伝えると、手続の入口で止まる。投稿者の所在が米国と分かっている場合については、日本は米国との間で犯罪人引渡条約も結んでいる。

06サーバーが米国にある場合

米国の TAKE IT DOWN Act は、対象となるプラットフォームに、本人からの有効な請求を受けて48時間以内に性的な画像やデジタル偽造物を削除し、把握している同一の複製の削除に努めることを義務づけている。連邦取引委員会は2026年5月19日にこの義務の執行を始めた。

  • 請求は書面で、署名、対象を特定できる情報、同意がないと信じる旨の陳述、連絡先の四点を含める。居住国は要件に挙がっていない。
  • 48時間を過ぎても削除されない場合や、削除の手続そのものがない場合は、連邦取引委員会の TakeItDown.ftc.gov に苦情を出せる。
  • FBI のインターネット犯罪苦情センター(IC3)は、他国の国民からの申告も受け付ける。ただし IC3 自体は捜査をせず、内容を法執行機関に回し、申告者に経過を知らせない。

請求は英語で書き、プラットフォームが公表している削除手続の窓口から送る。送った日時を記録しておく。48時間は有効な請求を受けた時点から数えるため、送信日時がそのまま後の苦情の根拠になる。代理人が出す場合は、本人から権限を与えられた者であることを請求の中で示す。対象かどうか分からない小規模なサイトにも同じ形式で送っておけば、日付の入った記録が残る。

07サーバーがEUにある場合

EUのデジタルサービス法の下で、プラットフォームは違法なコンテンツの申出を受ける仕組みを置き、判断の理由を示す必要がある。日本から申し出る場合も、まず各サービスの EU 向けの違法コンテンツ報告フォームを使う。

  • 削除されなかったときは、プラットフォーム内の異議申立てに進む。この申立ては判断の通知から少なくとも6か月間受け付けられなければならない。
  • その次は、認証を受けた裁判外紛争解決機関である。必要な言語を扱えるなら、自分の国にある機関でなくてよい。判断に拘束力はない。
  • 各国のデジタルサービス調整官への苦情は、利用者が所在する加盟国の調整官に出す仕組みで、日本在住の被害者には使いにくい。
  • 刑事の記録の取り寄せは、日本とEUの間の刑事共助協定の対象になる。

申出は英語で書き、違反している法律を平易な言葉で示し、URLは一件ずつ分けて出す。プラットフォームの判断理由の通知は保存しておく。異議申立てはその理由に一行ずつ反論する形で書くと通りやすい。紛争解決機関で利用者側の主張が認められた場合、機関の費用はプラットフォームが負担する。

08豪州に関係者がいる場合

豪州の eSafety コミッショナーは、画像に基づく虐待について削除通知を出せる。指針は、デジタルに加工された画像も対象になると明記し、ディープフェイクを例に挙げている。

国をまたぐ案件で重要なのは、申立ての要件である。写っている本人か、投稿した者のどちらかが豪州に通常居住していればよい。被害者が日本にいても、投稿者が豪州在住なら申し立てられる。プラットフォームへの事前の報告は不要で、投稿者が誰か分からなくても申し立てられる。削除通知を受けた側は、原則として24時間以内に対応しなければならない。

本人以外が申し立てる場合は、本人から権限を与えられていることを確認する申告書が求められる。対象の記録は、通知を受けた側が対応できるように特定されていなければならず、指針はその例としてスクリーンショット、URL、ユーザー名、タイムスタンプを挙げている。日本で集めた資料は、そのまま使える形にしておく。

09応じないサイトへの次の窓口

運営者が分からない、報告フォームがない、あっても反応がない。こうしたサイトでは、ドメインを管理する登録事業者が次の相手になる。

ICANN によると、ICANN と契約する登録事業者は、管理するドメインに関する濫用の報告を受ける窓口を置き、ウェブサイトに公開し、報告に対して合理的かつ速やかに調査・対応しなければならない。法執行機関からの報告は24時間以内に確認すべきものとされている。登録事業者がこれに従わない場合は、ICANN のコンプライアンス窓口に苦情を出せる。

登録事業者は、濫用報告の受付手順を公表し、登録情報の検索結果にも濫用報告用のメールアドレスと電話番号を表示することになっている。窓口が見つからないという理由で止まる必要はない。

警察に届け出ている場合は、登録事業者への報告に受理番号と届出日を書き添える。刑事手続が動いている事実は、対応の優先度を判断する材料になる。手順は海外の違法サイトへの請求に分けて書いている。

登録事業者への報告は英語で短く書く。対象のドメインと URL、写っているのが本人であること、同意がないこと、運営者に連絡がつかない経緯を並べる。返信がなければ日付を記録して同じ内容を一度だけ催促し、それでも動かなければ苦情の段階に進む。

10刑事と削除を並べる順序

国外が絡む案件ほど、刑事の手続は長くなる。削除を刑事の結果待ちにすると、その間に複製が増える。順序は次のように組む。

時期刑事の手続削除の手続
初日証拠の固定と所在地の書き出し同じ資料で各プラットフォームに報告
数日内警察庁の窓口から相談、告訴の検討米国は48時間請求、EUは違法コンテンツの申出
却下・無反応国外の記録は共助の手続へ異議申立て、紛争解決機関、登録事業者へ
その後捜査の経過を担当者に確認再投稿の監視と、新しい URL ごとの報告

投稿者に直接連絡するのは避ける。記録を消される、別のサイトに転載される、要求が強まるといった展開になりやすく、国外の相手ではその後の手当てがさらに難しくなる。やり取りが既にある場合は消さずに保全し、そのまま警察への資料に加える。

再投稿は、別の国のサーバーに移って戻ってくることが多い。新しい URL を見つけたら、その都度所在地を書き出し直し、最初の表に行を足す。前の受付番号と判断を添えて出せば、同じ案件の再発として扱われやすい。

サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)が扱うのは削除と監視の側である。本人の写真2枚から3枚で複製の所在を探す顔認識による探索、各国の窓口への報告、登録事業者への申出、周期ごとの再投稿の監視を行う。映像は保管せず、メタデータとハッシュ値だけを記録する。法律事務は取り扱わず、告訴や訴訟の代理はしない。

よくある質問

投稿者が海外にいても日本で届け出られますか

届け出られる。警察庁の窓口は住んでいる都道府県の警察に通知される。投稿者が日本国民なら、名誉毀損は国外での行為にも刑法が適用される。

外国人が海外から投稿した場合は

外国人が国外で日本国民に対して行った場合に適用される罪の一覧に、名誉毀損は入っていない。国内での犯罪として扱えるかは捜査機関と裁判所の判断になる。

海外のサーバーの記録は手に入りますか

日本の警察が直接取ることはできず、刑事共助条約などを通じて取り寄せる。日本は米国やEUなどと条約・協定を結んでいる。

米国の48時間ルールは日本から使えますか

請求の要件は署名、対象の特定、同意がない旨の陳述、連絡先の四点で、居住国は要件に入っていない。対象は法律が定めるプラットフォームに限られる。

IC3に出せば捜査してもらえますか

IC3 は他国の国民からの申告も受け付けるが、自らは捜査しない。内容を法執行機関に回し、申告者には経過を知らせない。

EUの調整官に苦情を出せますか

調整官への苦情は、利用者が所在する加盟国の調整官に出す仕組みである。日本在住なら、プラットフォーム内の異議申立てと裁判外紛争解決機関を使う。

豪州の制度は日本在住でも使えますか

投稿者が豪州に通常居住していれば使える。本人か投稿者のどちらかが要件を満たせばよく、投稿者が分からなくても申し立てられる。

生成だけの画像でも刑事で問えますか

私事性的画像記録法は撮影された画像を対象にしているため、生成だけの画像には届かないことがある。その場合は名誉毀損が中心になり、告訴が必要である。

公開2026-11-04
最終更新2026-11-04
閲覧時間約12分

本稿は一般的な情報であり、法的助言ではない。結論は個々の事実関係、関係する国の法令、捜査機関・裁判所・プラットフォームの判断によって変わり、特定の結果を約束するものではない。法令、窓口、各社の方針は変わるため、記載は掲載日時点で確認した内容である。本文中のサービス名はそれぞれの権利者の商標であり、サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)はこれらと提携関係にない。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は法律事務を取り扱わないため、告訴や国外での法的手続については弁護士に相談すること。

CASE INTAKE

所在地を書き出すところから始める

URL、アカウント名、確認した日時を送っていただければ、サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)が、どの国のどの窓口に何を出せるかを一件ずつ整理し、削除と監視を並行して進める。相談内容は外部に出さない。

すべての相談は匿名で行われます。