削除業者の「認定資格」は何も証明しない|代わりに確認すること
「〇〇協会認定」「誹謗中傷対策の資格保有」。削除業者のサイトでよく見る表示である。だが、削除の申出をする人に資格を求める法律はなく、窓口の様式にも資格を書く欄はない。投稿が消えるかどうかを決めるのは、申出の根拠と資料である。
ABSTRACT
民間の認定証が示すのは、その団体の講座を修了したという事実だけである。削除の経路が求めているのは、権利を侵害されたとする本人か、その代理人であることで、資格ではない。業者を見るなら、契約書の範囲、URLごとの報告、誰の名義で出すのか、何を保管するのか、そして弁護士法の線を分かっているかを確認する。
本稿は2026年11月4日時点で、e-Gov 法令検索の弁護士法と情報流通プラットフォーム対処法の原文、総務省が公表する削除申出窓口および削除基準の一覧、消費者庁の景品表示法の解説、Google 検索ヘルプ、欧州委員会の trusted flagger に関するページ、ISC2 の公式ページを確認して作成した。
目次
01「認定」「資格」の正体
流出動画や誹謗中傷の削除を検索すると、似たサイトが並ぶ。代表者の写真、ロゴの列、そして「〇〇協会認定」「ネット削除の資格保有者在籍」といった一文。会員証や受講修了証の画像を大きく載せているところもある。
これらは民間の団体が、講座を受けた人や会費を払った人に出すものである。修了証が示すのは、その団体の講座をその団体の基準で終えたという事実だけで、何を学んだのか、誰が教材を作ったのか、あなたの動画が載っている海外サイトを扱えるのかは何も分からない。
子どもの頃のボーイスカウトのバッジと同じである。その団体の中では意味があっても、今週中に動画を消せるかどうかとは関係がない。
「〇級」「〇〇士」といった等級も、発行団体が自分で決めたものである。同じ名前でも団体ごとに試験の中身は違い、外から比べる共通の基準はない。その紙が何を確かめた結果なのか。講座の受講か、試験の合格か、会費の支払いか。それすら書いていない表示は判断材料にならない。
その表示を、業者自身でも発行団体でもない第三者の名簿で確かめられるか。確かめられないなら飾りとみなし、次の質問に進む。
なぜ資格を掲げるのか。読む人の多くは急いでいて、この分野が初めてだからである。削除の申出をしたことがない人には、「認定」の二文字が専門性に見える。方法と実績がある業者はそれを先に見せる。資格の画像が置かれているのは、たいてい説明があるべき場所である。
02申出に資格はいらない
実際に削除を動かす経路は、誰が出せるかを定めている。どれも資格は求めていない。求めているのは、本人であることか、本人から頼まれた代理人であることだけである。
| 経路 | 出せる人 | 求められるもの |
|---|---|---|
| 情プラ法に基づく大規模事業者への削除申出 | 自己の権利を侵害されたとする者 | 侵害情報等を示すこと |
| Google 検索の個人情報の削除 | 本人または代理人 | 該当ページの URL、場合によりスクリーンショット |
| Google 検索の性的コンテンツの削除 | 本人または代理人 | URL と、同じ端末で撮ったスクリーンショット |
| 削除に料金を求めるサイトの検索結果 | その情報の本人 | URL と、サイトが搾取的である理由の説明 |
情報流通プラットフォーム対処法は、大規模な事業者に、申出の方法を定めて公表すること、そしてその方法が申出をする人に過重な負担を課さないことを求めている。専門家でなければ出せない仕組みは、法律の側が想定していない。
Google の性的コンテンツの削除では、スクリーンショットは申請する端末で撮り、顔だけが見えるように切り抜いてよいとされている。求められているのは本人であることを示す情報で、第三者の肩書きではない。
まともな業者が最初に送ってくるのは、パンフレットではなく委任状の案である。業者名、対象の URL か検索語、期間が書かれ、出した申出の一つひとつが本人の同意にさかのぼれるようになっている。
03削除を決めるのは根拠と資料
窓口が判断するのは、申出をした人ではなく申出の中身である。根拠が窓口の扱うものか(著作権、プライバシー、性的画像、規約違反)、対象がURLで特定されているか、資料がそろっているか、そして判断できる相手に出しているか。
却下されたときに効くのも資格ではない。却下理由を読み、根拠か資料を差し替えるか、ホスティング事業者や検索エンジンへ経路を移す。結果を作るのはこの作業で、市販のどの資格もここを試験していない。
最初の申出が通らないのは珍しくない。問題はその後で、理由を読まずに同じ文面を何度も送る業者は、件数を稼いでいるだけである。
たとえば、本人が撮影した動画の無断転載なら著作権の筋が明確で、本人が写る性的な画像なら Google の性的コンテンツの削除が使える。どちらを選ぶかで、求められる資料も結果も変わる。
- 探す力。本人が知っている URL は一部にすぎない。詳しくは流出した画像・動画の複製を全部見つける方法。
- 根拠を選ぶ判断。同じ動画でも、どの根拠で出すかで結果と速さが変わる。
- 却下後の対応。同じ文面を送り直さず、資料か相手を変える。
- 確認と報告。期日を決めて再確認し、残った URL まで報告する。
この四つはどれも、資格の有無ではなく記録で確かめられる。見つけた URL の一覧、URL ごとの根拠、却下への対応、日付の入った再確認である。
Google 自身も、削除に料金を求めるサイトについて専用の削除手続を設けている。お金を取って消す商売には、それだけで乱用の類型があるということである。
04専門性が求められているのは判断する側
情プラ法は、大規模な事業者に、申出を受けたら遅滞なく調査することを義務づけ、専門的な知識経験を要する調査のために侵害情報調査専門員を置くことを求めている。
つまり法律が専門性を求めているのは、申出を受けて判断する側である。申出をする側に必要なのは、何が、どこで、なぜ権利侵害なのかを正確に示すことで、それは本人でもできる。
対象となる事業者の窓口と削除基準は、総務省が一覧で公開している。YouTube、Instagram、X、TikTok、Yahoo!知恵袋などが並ぶ。窓口を知っていること自体は、料金を払う理由にならない。
EU には、デジタルサービス法に基づく信頼できる通報者(trusted flagger)という公的な地位がある。加盟国の当局が、専門性、プラットフォームからの独立、正確さを条件に認定し、欧州委員会が一覧を公開している。対象は EU 域内の団体だけで、日本の窓口にこの制度はない。
それでも優先されるのは処理の順番で、削除するかどうかはプラットフォームが決める。日本で「公認」「指定通報者」のように名乗る業者がいたら、どの制度に基づくのかを聞けばよい。答えられなければ、それが答えである。
申出は、本人が出しても業者が出しても同じ窓口を通る。違いが出るのは、根拠の選び方と資料の質である。
05弁護士法が引く線
削除支援業者は弁護士ではない。弁護士法は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件について代理や和解その他の法律事務を取り扱うこと、またそれを周旋することを業とすることを禁じ、違反には2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金を定める。
同じ法律は、弁護士でない者が利益を得る目的で「法律相談」を扱う旨を表示することも禁じている。削除業者のサイトに「無料法律相談」とあれば、それ自体が確認すべき点である。紹介料を取って弁護士につなぐ仕組みも、周旋の問題になり得る。
この表示の禁止に違反した場合も、100万円以下の罰金が定められている。業者が「法的措置まで一貫対応」とうたうなら、その部分を誰が受任するのか、弁護士の名前と契約の相手を確認する。
| 作業 | 削除支援業者 | 弁護士 |
|---|---|---|
| 複製の調査と URL 一覧の作成 | 可 | 可 |
| 窓口の条件確認と申出書類の下書き | 可 | 可 |
| 削除すべきかどうかの法的助言 | 不可 | 可 |
| 相手方との交渉・和解 | 不可 | 可 |
| 発信者情報開示命令・仮処分の申立て | 不可 | 可 |
投稿者の特定は裁判所の手続であり、業者が自分でできるものではない。詳しくは匿名の投稿者を特定する手順。
どこまでが事務で、どこからが法律事務かは、個別の事情で変わる。だから業者には、工程ごとに誰が何をするかを書面で出してもらう。助言できない人があなたの名前で出した書面は、あなたが選んでいない立場をあなたに取らせる。
06確かめられる表示、確かめられない表示
業者のサイトにある表示は、第三者が確かめられるものと、そうでないものに分けられる。
| 表示 | 確かめ方 | 一致したら分かること |
|---|---|---|
| 提携弁護士 | 名前を聞き、所属弁護士会で確認 | その弁護士が実在すること |
| CISSP | 発行元の ISC2 | 試験合格と5年の実務経験。削除の能力ではない |
| 〇〇協会認定 | 発行団体のみ | 講座を修了したこと |
| 削除保証・100% | 確かめようがない | 何も分からない |
根拠のない表示は、説得力がないだけでは済まない。消費者庁は、サービスの内容を実際より著しく優良であると示す表示を、景品表示法の優良誤認表示として禁止の対象と説明している。
提携弁護士を挙げる業者には、その名前を聞いて自分で確かめる。名前の出せる弁護士への紹介は普通のことで、名前のない「法務チーム」は誰にも確かめられない。
セキュリティ資格のように、発行元が試験と実務経験を課す資格もある。それでも示すのはその分野の能力で、削除の能力ではない。資格の種類を問わず、最後に見るべきは結果の記録である。
07実力を示すもの
資格よりも多くを語るのは、書面と具体的な答えである。
どれも相手に書いてもらえば、後から確かめられる。口頭の約束は、何かあったときに何も残さない。
支払う前に求めるもの
- 対象の URL か検索語、期間、料金、消えなかった URL の扱いを書いた契約書
- 過去の案件の実際の報告書(依頼者情報を消したもの)
- 誰の名義で申出を出すのかの説明
- 範囲を限った本人の委任状
- 何を保管し、どこに、いつまで置き、いつ消すのか
- 名前の付いていない複製をどう探すのか
- しないことと、それを誰に引き継ぐのか
- 会社の登記、所在地、責任者の名前
契約書の質は、消えなかった URL をどう扱うかが書いてあるかで分かる。全額を前払いで取り、結果に関係なく一切返金しない契約は、業者が何のリスクも負っていないことを意味する。
「独自のノウハウなので言えない」「全部消えました」の一言、契約前の入金要求。どれも確かめる材料がないという意味である。契約時の確認点は削除業者の選び方にまとめた。
08返ってくるべき報告書
仕事をした証拠は結果報告書だけである。依頼者が自分でリンクを開き、同じものを確かめられる形でなければ意味がない。
- 申出した URL の一覧
- 使った根拠と出した相手
- 申出日と受付番号
- 結果(削除、検索結果からの除外、却下、審査中)
- 再確認した日と方法
- 残っている URL とその理由
「削除」は、申出を送ったことではなく、決めた日に再確認して表示されなかったことを指す。検索結果からの除外はページ自体を消さないと Google も明記している。両者を混ぜた報告書は、違いを隠している。
契約の前に報告書の見本を見せてもらう。実際に作っている業者なら、依頼者情報を消したものを出せる。作っていない業者は、成功した一件のスクリーンショットを見せる。報告書がなければ、払った料金の対価を確かめる手段がない。
数字にも注意する。「削除件数」が申出を送った数なのか、実際に消えた数なのかで、意味はまったく違う。数え方を書いていない数字は比べられない。
09サラジムカンパニーがすること、しないこと
サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は韓国の会社で、複製の調査、URL ごとの区分、窓口の条件確認と書類の下書き、申請の支援、却下後の再申請、再投稿の監視、報告書の作成を扱う。
法律事務は取り扱わない。法的助言をせず、交渉や和解をせず、裁判所の手続で代理人にもならない。その段階に来たら、その旨を伝え、依頼者が選ぶ弁護士に引き継ぐ。
探索は本人の写真2〜3枚から顔認識で行い、名前の付いていない複製まで確認する。監視はメタデータとハッシュ値で行い、映像そのものは保管しない。個人情報は作業完了後、利用規約に従って破棄する。
代表はセキュリティの専門家で、Palo Alto Networks の出身、CISSP、CISM、CEH、OSCP、GIAC GASAE を持つ。これは試験を課す発行機関のセキュリティ資格で、データの扱い方を示すものであり、削除の資格ではない。そう見せることもしない。
しないことも、提供内容の一部である。結果を約束しない。依頼者に代わって相手を脅さない。自分が扱えない裁判の手続に料金を取らない。
相談では、どの URL をどこに、どの根拠で出すのかを先に説明し、作業の終わりにはリンクを一つずつ確かめられる報告書を渡す。資格の画像を見せる代わりに、それを見せる。
月平均の削除件数は52,142件以上、対応プラットフォームは914以上、削除率は98.2%。全体の率であり、個別の案件の結果を約束するものではない。
10資格を前面に出す業者と話しているなら
資格を掲げているから悪い業者だとは限らない。資格の話はいったん脇に置いて、次を聞く。
- この URL は、どこに、どの根拠で出すのか。
- 過去の報告書を見せてもらえるか。
- 誰の名義で出すのか。
- 何を保管し、いつ消すのか。
- 消えなかった URL の料金はどうなるのか。
答えが具体的で書面で出てくるなら、それで判断すればよい。どの質問にも資格と協会の話で返すなら、その業者が持っているのは紙一枚である可能性が高い。自分で出せる申出も多い。自力申請と業者依頼の境界も参照。
すでに支払っていて答えが返ってこないなら、申出した URL の一覧と受付番号を書面で求める。その一覧は依頼者のもので、次に引き継ぐ人が必ず必要とする。
同じ質問を二社か三社にしてみるとよい。答えを書面で残しておけば、業者の違いはすぐに分かり、後で約束と違ったときにも比べられる。
よくある質問
削除業者に必要な国家資格はありますか
削除の申出をする人に資格を求める法律はない。経路が求めているのは、権利を侵害されたとする本人か、その代理人であることである。
資格がある業者のほうが早く消えますか
早くならない。窓口が見るのは申出の根拠と資料で、様式に資格を書く欄はない。
協会の認定は信用できますか
認定が示すのは、その団体の講座を修了したことだけである。発行団体の外で確かめる方法がなければ、判断材料にはならない。
削除業者は投稿者を特定できますか
できない。投稿者の特定は発信者情報開示命令などの裁判所の手続で、弁護士が扱う。
業者が相手と交渉してくれると言っています
弁護士でない者が報酬を得て法律事件の交渉や和解を業として扱うことは、弁護士法が禁じている。誰が交渉するのかを確認する。
契約書には何が書いてあるべきですか
対象の URL、期間、料金、消えなかった URL の扱い、委任の範囲、保管する情報と破棄の時期である。
代表の資格は削除の資格ですか
違う。CISSP などはセキュリティ資格である。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は、資格ではなく報告書で判断してほしいと考えている。
動画ファイルを送る必要はありますか
ない。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は URL、本人の写真2〜3枚、メタデータで作業し、ファイルやパスワードは求めない。
確認した出典
- 弁護士法 - e-Gov 法令検索
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 - e-Gov 法令検索
- 届け出られた削除申出窓口及び削除基準(一覧) - 総務省
- 優良誤認とは - 消費者庁
- Google 検索から個人情報を削除する - Google 検索 ヘルプ
- Google 検索から個人的な性的コンテンツを削除する - Google 検索 ヘルプ
- 削除料金を請求しようとする搾取的なサイトに掲載されているあなた個人に関するコンテンツを削除する - Google 検索 ヘルプ
- Trusted flaggers under the Digital Services Act - 欧州委員会
- CISSP - ISC2
本稿は一般的な情報であり、法的助言ではない。結論は個々の事実関係や相手方の判断によって変わり、特定の結果を約束するものではない。プラットフォームの方針や法令は変わるため、記載は掲載日時点で確認した内容である。本稿は特定の団体や業者を指すものではない。本文中のサービス名はそれぞれの権利者の商標であり、サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)はこれらと提携関係にない。サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は法律事務を取り扱わないため、法的助言が必要な場合は弁護士に依頼すること。
CASE INTAKE
資格ではなく、報告書で判断してほしい
サラジムカンパニー(SARAZIM LLC)は、支払いの前に、どの URL をどこに、どの根拠で、誰の名義で出すのか、何を保管していつ消すのか、何を扱わないのかを説明する。作業の終わりには、リンクを一つずつ確かめられる報告書を渡す。相談内容は外部に出さない。
すべての相談は匿名で行われます。